Xi Jinping kyodo

中国の習近平国家主席(共同)

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日本において中国政府への抗議活動などに加わった在日中国人に対し、中国政府が圧力をかけているとする調査結果を、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)が公表した。

新疆ウイグル、チベット、内モンゴル自治区、香港の出身者を含む中国人への人権弾圧である。HRWによる今年6~8月のインタビューで、中国政府の人権弾圧への抗議や民族文化の紹介などをしたことのある25人のうち16人が中国当局の圧力を証言した。

中国の警察が中国にいる親類を通じて、日本での活動中止を求めてきた。親戚と電話していると警察が代わり、帰国しないと「家族がどうなっても知らないぞ」と脅された。在日中国大使館で、チベットに戻らないと旅券の更新はできないと言われた人もいた。

human rights
東京・銀座で平和行進を行うミャンマー、カンボジア、イラン、ウクライナ、ベラルーシ、チベット、ウイグル、内モンゴル、台湾、香港、中国、日本の人々=2022年12月10日(Photo courtesy of FB/ MI & FF)

日本は言論の自由が保障された民主主義国だ。どの国の出身者であれ、言論の自由を享受する資格がある。調査結果が事実であれば、在日中国人への圧力は人権侵害である。日本国の主権を侵害するケースがあるかもしれない。

日本の外務省や警察は実態を調べ、事実を確認すれば中国政府の不当な行為をやめさせなくてはならない。日本が尊ぶ価値を土足で踏み荒らす行為を容認してはならない。

HRWは「日本政府は中国政府に対し『国境を越えた人権弾圧』を許さないと明確にすべきだ」と訴えた。問題を放置すれば、国際社会での日本の信用にも関わろう。無関心は人権弾圧への間接的な加担になる。

中国の「海外警察拠点」があるとされ、警視庁公安部が昨年5月に捜索したビル(中央)。現在は拠点とみられる法人は移転した上、ビルの所有者も変わっている=3月19日、東京都千代田区(橋本昌宗撮影)

中国外務省は「国境を越えて弾圧を行ったことはない」とするが、「国境を越えた弾圧」の実態は日本以外の国でも報告されている。

中国は、公安の出先機関を外国に設け、在外中国人を拘束したり、帰国を強制したりするなどの「海外闇警察」活動を行っていた。明白な主権侵害である「海外闇警察」は、米国やドイツ、オランダなどで摘発され、閉鎖命令を受けている。

HRWのインタビューに応じた複数の人が「日本の警察は助けてくれないだろう」と考え、日本側に助けを求めなかったことも分かった。日本政府はこれを恥じなくてはならない。日本は、自由の擁護者であり続けるべきだ。

2024年11月5日付産経新聞【主張】を転載しています

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