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日本を代表する哲学者の西田幾多郎、鈴木大拙が金沢にゆかりがあることから誕生した金沢大学国際賞の第5回授賞式が11月19日、金沢市内で行われ、受賞者の米ノースフロリダ大学名誉教授、ジョン・C・マラルド氏が「この上ない名誉で、西田研究に貢献するすべての学者にとって励みになります」と挨拶した。マラルド氏は、日本哲学研究の国際化と発展に貢献したことが認められた。
講演会で、マラルド氏は、1971年に初来日した際のエピソードや西田と鈴木を知った経緯について触れ、「日本での生活の間、多くの方々が温かく迎え入れ、支えてくれました。その多くの方々に感謝しています。40年たった今も、鈴木と西田の先駆的な思索の表面に触れたばかりのように感じています」と話した。
そのうえで、西田哲学の意義や自身の研究について語り、「西田は、人間の自己を『世界の焦点』として描写しましたが、動物もまた『世界の焦点』とみなされるのではないでしょうか。そうであるなら、動物も世界の目や耳、皮膚や触感として尊重されなければなりません」「すべての生き物を尊重しなければ、世界に逆らって生きることで、地球を危機に陥れることにつなります。以上が西田哲学から聞き取ったメッセージです」と述べた。
Remembering Dr Usui
マラルド氏は、1942年生まれ。ミュンヘン大学で博士号を取得後、上智大学、南イリノイ大学、ノースフロリダ大学で教え、京都大学の客員教授、南山宗教文化研究所研究員などを歴任し、日本哲学の研究者として知られている。
金沢大学国際賞は、同大学医学部を卒業した医療法人明徳会「十全記念病院」前理事長、臼井溢(みつる)氏による運営資金で、創設された。臼井氏が今年10月、急逝したため、授賞式に先立ち、黙とうがささげられた。授賞式には現理事長で長男の岳(がく)氏が出席し、マラルド氏に副賞を手渡した。
( JAPAN Forward)
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