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The building features a dynamic and unconventional design, with its concrete structure appearing to twist and flow as though molded by natural forces.

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東京都港区の聖坂に、1棟のビルが建っている。鉄筋コンクリート製なのに曲がってうねってとんがって、壁も天井も不思議な文様に埋め尽くされている。その名も「蟻鱒鳶(アリマストンビ)ル」。もはやアート作品と呼びたくなるこの建物は、ひとりの建築家が着工20年目にして自分の手でつくりあげた「セルフビルド建築」だ。

「俺こんなのつくってたの、という気持ち。予想をはるかに超えたものが出てきてびっくりしました」。建築家、岡啓輔さん(59)は10月下旬、シートや足場が取り外されて姿を現した蟻鱒鳶ルを見上げ、満面の笑みを浮かべた。

足場がすべて外されその姿を現した蟻鱒鳶ルを、仲間と共に眺める岡啓輔さん(手前) =10月24日、東京都港区(安元雄太撮影)

平成17年に建設スタート。地上4階地下1階で、敷地は40平方メートルという狭小住宅。ダンサーでもある岡さんは「セルフビルドで踊れ!」と、作業に即興性を取り入れた。

最初に決めたのは大まかなイメージのみ。食品トレーや植物などさまざまな素材を型枠に組み込んだり、窓は複雑な多角形にしたりとアドリブで作業を進め続けた。手伝いに訪れた友人らが、それぞれオリジナリティーを発揮したことも即興性に拍車をかけた。

外壁に設置された雨どいは、透明でらせんを描いている =10月24日、東京都港区(安元雄太撮影)

コンクリートは水分量を減らしたため、専門家から「200年もつ」とお墨付きをえたほどの頑丈さを誇る。丁寧な仕事ぶりもあって表面は不思議な光沢をたたえており、造形とあいまって神秘性すら漂わせている。

実は工事はまだ終わっていない。周辺の再開発計画に巻き込まれたため、来年の夏には曳(ひ)き家方式で南東に10メートル移築させることとなっている。

複雑な多角形を描く窓 =10月24日、東京都港区(安元雄太撮影)

とはいえ、20年かけた蟻鱒鳶ルはひとまず完成。気が早いとは思いつつも、次の目標を聞いてみた。

「みんなと楽しく建築するのを、もっと真剣にやりたいですね。この数年で面白い人も育ってますし、もっと面白いことが起きるような、新しいプロジェクトを立ち上げたいです」

第2、第3の蟻鱒鳶ルが街を彩る未来は、案外遠くないかもしれない。

筆者:安元雄太(産経新聞写真報道局)

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