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安倍晋三元首相の妻、昭恵さんは米フロリダ州を訪れ、トランプ次期米大統領夫妻と夕食をともにした。
トランプ氏はその後の記者会見で、石破茂首相との会談に前向きな姿勢を示した。「ぜひ会いたい」と語り、来年1月20日の就任前の会談もあり得るとした。
石破首相は早期に会談を実現し、日米同盟の重要性を確認してもらいたい。年末に向けて令和7年度予算編成などが控えているが、最優先で日程を調整すべきだ。
昭恵さんとの面会を巡り、トランプ氏の妻、メラニアさんはSNSに「私たちは安倍元首相をしのび、素晴らしいレガシー(政治的遺産)をたたえた」と投稿した。
安倍氏が亡くなった後も、トランプ氏は昭恵さんに電話をかけていたという。会見で昭恵さんを招いた理由について「シンゾーへの敬意だ」と語った。安倍、トランプ両氏の絆の強さを感じずにはいられない。
トランプ氏は昭恵さんを通じて石破首相に本などの記念品を贈った。夕食会で首相との会談が話題に上らなかったとは思えない。石破首相は安倍氏の遺産の大きさを認識すべきだ。
昭恵さんとトランプ夫妻との夕食会は、政府を通じてではなく私的ルートで実現した。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長もトランプ氏と会談し、米国への投資計画を伝えた。
石破首相は11月に南米を訪問した際、帰国途中でのトランプ氏との会談を打診したが、断られていた。
日本政府は、トランプ氏側から法律の制約で就任前はどの国の首脳とも面会しないと説明されたとしていた。だが実際はアルゼンチンやフランスの大統領らと精力的に会談している。
日本国の首相として真っ先に会談すべきだったにもかかわらず、外国の首脳や日本の私人に後れを取ったわけだ。石破首相や外務省は猛省し、外交力をもっと磨いてほしい。
トランプ氏が石破首相との会談に前向きな姿勢を示したからといって、楽観は禁物である。確実に実現してもらいたい。
会談では、石破首相自身が語り合うに値するリーダーであることをトランプ氏に認識させることが肝要だ。台湾有事が懸念される。対中抑止についてしっかり話し合う必要がある。
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2024年12月18日付産経新聞【主張】を転載しています
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