タレントの中居正広氏と女性とのトラブルをめぐり、フジテレビの港浩一社長らが辞任した。トラブル把握後の対応がまずく、港氏らの責任は免れない。
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フジテレビ社長退任を表明した港浩一社長=1月27日午後、東京都港区

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タレントの中居正広氏と女性とのトラブルをめぐり、フジテレビの港浩一社長らが辞任した。

トラブル把握後の対応がまずく、1月17日の記者会見にも問題があった。港氏らの責任は免れない。

同局は第三者委員会の調査に全面的に協力するとともに、信頼回復への手立てを自らも尽くすべきである。それなしに再生は難しい。

同局と親会社フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の27日の臨時取締役会で、港氏と嘉納修治同局会長(FMH会長兼任)の辞任が決まった。

港氏は同日の記者会見で、「(女性に)深い失望感を抱かせてしまった」「私自身の人権への認識が不足していた」などと述べて謝罪した。また「テレビ局としての透明性、説明責任を欠き、メディアとして信頼性を揺るがせたことを痛感する」とも語った。

タレントの中居正広氏

会見では一昨年6月に同局幹部が把握したトラブルについて港氏への報告が同年8月だったことなどが明らかになった。トラブル後も中居氏を番組に起用し続けたことも含めて同局の対応には多くの問題がある。

女性のプライバシー保護は当然としても、人権侵害が疑われる事態でありながら、社内で十分に情報共有せず、中居氏への正式な調査もなかった。適切な対応だったとはいえない。

この日の記者会見は取材メディアを限定せずに行われた。17日の会見でテレビカメラの撮影を認めなかったことなどが厳しく批判されたことを踏まえたものだ。オープンな取材の場を設けるのはメディアとして当然である。

日本弁護士連合会のガイドラインに沿って行われる第三者委員会の調査では、同局社員のトラブルへの関与などが焦点になる。類似事案の有無や企業統治(ガバナンス)の問題点についても詳細に示す必要がある。

第三者委の委員長は、背任事件があった東京女子医大の第三者委を担当するなど経験が豊富な弁護士が就任した。人権救済や再発防止の観点からも徹底した調査を求めたい。

第三者委の調査は3月末をめどに公表される。同局はそれ以前でも、必要な情報発信については迅速かつ適切に行うべきである。透明性のある対応が不信の払拭に欠かせない。

2025年1月28日付産経新聞【主張】を転載しています

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