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日の出を前に、朝焼けを映して赤色に染まる瓢湖=1月19日、新潟県阿賀野市(川村寧撮影)
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太陽が顔を出す少し前、朝焼けの空が湖面に映り、燃えるような風景が広がった。水面に浮かぶカモたちのさえずりと、「コー、コー」とハクチョウの声が響く。訪れたのは新潟県阿賀野市にある「瓢(ひょう)湖」で、1周約1200メートルの小さな湖。冬場に多くのハクチョウが渡来する「白鳥の湖」として有名だ。
もとは寛永2(1625)年の大干魃(かんばつ)の対策として造られた農業用水池。名前の由来は、かつて隣に小池があり瓢箪(ひょうたん)のような形をしていたからといわれている。
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湖の朝は慌ただしい。水面にたたずんでいたハクチョウたちが、餌を求めて周辺の田んぼや川に向かって飛び立っていく。羽ばたきながら水かきで水面を蹴って助走する姿は、豪快で愛らしい。
ハクチョウは毎年10月上旬に第1陣が飛来。11月下旬のピークには5000~6000羽に達し、翌3月半ばごろまでに北帰行に旅立つ。
今季は昨年11月に過去2番目の9051羽を数えた。1月31日時点で5411羽を確認した。
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シーズン中は1日に3回、「白鳥おじさん」の愛称で親しまれる斎藤功さん(75)による給餌も行われている。
斎藤さんが姿を見せると、無数のカモたちと、ハクチョウが一斉に集まってくる。「来ーい、来い来ーい」と声を掛けながら餌をまくと、鳥たちの〝大争奪戦〟が始まる。訪れた観光客たちも歓声を上げるほど、その様子は圧巻だ。
「遠路はるばる訪れた珍客をもてなすような気持ちで、感謝を込めて接している」と斎藤さん。
白鳥おじさんは昭和29年、ハクチョウの人工給餌に成功した吉川重三郎さんに始まり、長男の繁男さんが2代目を継ぎ、3代目となるのが斎藤さんだ。
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同年、国の天然記念物に指定され、平成20年には「ラムサール条約」にも登録された。瓢湖を管理する阿賀野市公園管理事務所の渡辺真二さん(52)は「ハクチョウたちはあくまでも野鳥です。立ち入りが禁止されている場所には入らない、餌を与えるときには指定のものを使用するなど、マナーを守って観察してほしい」と話す。
自然豊かな「地域の宝」を守るため、地元の小学生が参加する「白鳥パトロール隊」も保護活動に携わるなど、世代を超えて地域ぐるみの取り組みが進められている。
筆者:川村寧(産経新聞写真報道局)
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