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ロシア・モスクワでの首脳会談で握手を交わすプーチン露大統領(左)とイランのペゼシュキアン大統領(ロイター)
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ロシアのプーチン大統領とイランのペゼシュキアン大統領が「軍事協力の発展」などを謳(うた)った「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名した。
プーチン氏は2024年6月、同じ名称の条約を北朝鮮と結んでいる。イランと北朝鮮も1980年代から弾道ミサイルなどの兵器取引を続けている。
ウクライナを侵略するロシアと核・ミサイル開発を進めるイラン、北朝鮮はともに国際社会から制裁を受けている。
この3国の軍事的結託で憂慮されるのは、ウクライナにおける戦闘の激化だけではない。日本にとっての脅威も確実に増大する。石破茂政権は警戒意識を強め、対露、対北の抑止力も高めねばならない。
露イラン条約は第2次トランプ米政権発足3日前に結ばれた。条約前文は「多極的世界秩序を希求」するとした。両国が「米欧主導の世界秩序」と称する、国際法に基づく国際秩序への挑戦を印象づけるものだ。
トランプ大統領は2024年10月、イランがイスラエルにミサイル攻撃をした際、報復として「イランの核施設を攻撃すべきだ」と語った。イランにはロシアを後ろ盾に頼る思惑もあろう。
露朝条約は有事の際の軍事的相互援助条項を盛り込んだ事実上の軍事同盟条約だ。北朝鮮はこれによって昨秋、ロシアへの大規模派兵を開始し、ウクライナ軍と交戦している。露イラン条約にこの条項はないが、ロシアはイランから攻撃型ドローン(無人機)や弾道ミサイルを大量に調達して、ウクライナ攻撃に使用している。
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これらの背景には、ウクライナ侵略長期化によるロシアの深刻な兵員、砲弾不足がある。露イラン条約は「軍事協力」として「軍隊・専門家の交流、軍艦の寄港、軍事要員の訓練」などを挙げており、武器弾薬の対露供与を加速する恐れがある。米CNNテレビは、イランのカスピ海を通じた対露兵器輸出の実態を報じた。制裁網をかいくぐった許されない動きだ。
北朝鮮は対露軍事協力の見返りに偵察衛星や弾道ミサイル、原子力潜水艦などの技術供与を受けているとされる。イランは近代的防空網などを求めている模様だが、軍事協力がどこまで拡大するか、日米欧の自由主義陣営は厳しく監視しなければならない。
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2025年2月8日付産経新聞【主張】を転載しています
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