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沖縄県浦添市長選で4選を確実にし、万歳三唱する松本哲治氏(中央)=2月9日午後、同市(大竹直樹撮影)
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任期満了に伴う沖縄県浦添市長選が2月9日投開票され、無所属現職の松本哲治氏(57)=自民、公明推薦=が、無所属新人の市民団体世話人、里道昭美氏(67)を破って4選を果たした。那覇市の中心部に位置する米軍那覇港湾施設(那覇軍港)を浦添西海岸に移設させる計画の是非が争点だった。
午後9時20分ごろ、支持者らが集まる選挙事務所に当選確実の一報が届くと拍手がわき上がり、移設容認の立場の松本氏は「相手候補の見えない難しい選挙だったが、市民の皆さまに過分の評価をいただいた」と述べ、「多くの人に喜んでもらえる市政運営に取り組む」と強調した。
那覇軍港の移設先となる浦添西海岸を守る活動を行っている市民団体の世話人を務める里道氏は、那覇軍港の移設反対を主張し、市政刷新を掲げたが、及ばなかった。
沖縄県内では1月19日に投開票された宮古島市長選で、前副市長の新人候補が県内11市で唯一の「オール沖縄」系の市長だった現職を破って初当選。玉城デニー知事を支持するオール沖縄系の市長がついにゼロとなった。同26日に投開票された沖縄市長選でも、オール沖縄勢力が推す元県議の候補が敗れ、連敗が続いている。だが、浦添市長選では候補の擁立が見送られた経緯がある。
那覇軍港の移設を巡り、知事の支持基盤も足並みが乱れているためだ。共産党などは「新軍港建設」として那覇軍港の浦添移設に反対しているが、玉城知事は「那覇軍港は極めて開発効果の高い地域。基地負担の軽減と産業振興の観点から早期の返還が必要だ」として容認の立場を取る。
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米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画は「反対」のワンイシュー(単一論点)で結束するオール沖縄勢力も、「浦添への軍港移設は反対、賛成について、政治的に微妙なところがある」(オール沖縄会議関係者)のだ。
那覇軍港は昭和49年の日米安全保障協議委員会で移設を条件に全面返還で合意。平成7年の日米合同委員会で浦添市への移設が決まった。県と市の間で調整が難航していたが、令和4年10月に防衛省と地元自治体が移設案に合意。5年10月には移設先の振興を進めていくことが確認された。
那覇軍港は那覇空港に隣接しており、約56ヘクタールの跡地を開発する計画。移設案は浦添西海岸の約49ヘクタールをT字形に埋め立て、民間港の整備を進める。
県や玉城知事は辺野古移設計画について「新基地建設」と主張しているが、浦添移設については、機能強化を伴わない現有機能の確保を目的としているとして、なぜか「新基地」「新軍港」との呼称は使っていない。
2つの移設計画を巡る県や玉城知事の対応は矛盾していると言わざるを得ず、退潮傾向の続くオール沖縄に新たな亀裂を生じさせる可能性もある。
筆者:大竹直樹(産経新聞)
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