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インタビューに応じるジュハル・イリハム氏=2月26日午前、東京都千代田区(相川直輝撮影)
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中国で国家分裂罪に問われ服役中のウイグル族の経済学者イリハム・トフティ氏の娘ジュハル氏(30)=米国在住=が、東京都内で産経新聞のインタビューに応じた。中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区の地域住民の生活水準は向上していると喧伝(けんでん)する中国政府の主張を「プロパガンダだ」と断じ、「ウイグル族の生活水準は改善などしていない」と述べた。
ジュハル氏は米ワシントンを拠点に、ウイグル族の強制労働を巡る実態調査などを通じ、人権擁護活動に取り組む。衣料品店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングや「無印良品」を展開する良品計画など日本企業に対し、生産拠点やサプライチェーン(供給網)からウイグル自治区を外すよう働きかけてきた。
日本でも中国製品が販売されているのを見かけると、「ウイグル自治区でいとこや父が作らされたものかどうか分からない。そう考えずにはいられない」と語り、日系を含む世界各国の企業にウイグル製品の使用を避けるよう求めた。
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ジュハル氏は、中国政府がウイグル自治区での「テロ対策」の結果、地域住民の「収入が向上した」などと主張していることについて、「ウイグル族の生活水準は改善などしていない」と反論した。「中国政府はウイグル自治区に漢族を大規模移住させる計画を行い、自治区の雇用の50%を奪っている」として、ウイグル族が仕事を探しても漢族が優先的に雇用されるのが実情だと明かした。
また、中国政府はウイグル族の「再教育収容所」の存在を否定し、「職業訓練センターだ」などと主張してきたが、過去の衛星写真の映像から「収容所の建設が証明できる」と強調。「各種統計によれば、ウイグル自治区の約10~20%の人口が収容所に送られてきた」と非難した。
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その上で、「ウイグル族の生活様式や言語、宗教は良くなく、漢族はより優れた教育を受けた人々だ」とする中国側の考えは、「まるで私たちが二流以下の人間、あるいは動物であるかのような扱いで、受け入れられない」と断じた。
ウイグル自治区は多結晶シリコンやアルミニウム、リチウムなどの天然資源が豊富だと強調。その地域の住民が困窮を余儀なくされたのは、「中国政府が数十年にわたり、天然資源だけでなくウイグルの人々の生活をも搾取し続けているからだ」と指摘した。「もし中国政府が私たちに干渉しなければ、私たちにはもっともっと良い生活があったはずだ」と語った。
筆者:岡田美月(産経新聞)
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