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米国のルビオ国務長官=2月15日、ドイツ・ミュンヘン(ゲッティ=共同)
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中台関係をめぐるトランプ米政権のメッセージを、中国は冷静に読み取るべきだ。
米国務省が、ホームページ(HP)上で、台湾について概説するファクトシートを更新し、「台湾独立を支持しない」との文言を削除した。
中国の圧力で阻まれてきた台湾の国際機関参加を強く支持する点も盛り込んだ。
台湾の外交部(外務省に相当)は「米台関係に前向きな姿勢」と歓迎した。
一方、台湾を「不可分の領土」とする中国は反発した。中国外務省の報道官は「米国の台湾問題に関する立場が深刻に後退した」とし、「直ちに誤りを正す」よう求めた。
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同様の文言の削除は、バイデン前政権下の2022年にも行われたが、中国政府の反発を受けて元に戻した経緯がある。
だが、米国務省を率いるルビオ長官は中国を深刻な脅威とみている。国務長官候補として臨んだ1月15日の米議会公聴会では、30年までに「劇的な変化がない限り、台湾侵攻が起きて対応を迫られることになる」と危機感を表明した。「台湾侵攻の代償が大きすぎると中国側に思わせることが重要」と述べ、対中抑止の重要性を指摘した。
就任後に中国の王毅共産党政治局員兼外相と電話会談したが、ルビオ氏は、中国軍の台湾海峡や南シナ海における動向を「威圧的行動」と批判した。
最近も中国軍は台湾周辺で軍事演習を行った。中国の威圧的行動は危険な水準にあるとみて、トランプ政権は対中牽制(けんせい)を一段と強めている。
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今回のHP上の文書更新も同じ狙いがあるのだろう。トランプ政権が「台湾独立」を目指しているわけではあるまい。HPでは、中台問題について、「威圧を伴わない、両岸の人々が受け入れ可能な形での平和的手段による解決を期待する」と記述し、バイデン政権期よりも表現を明確にした。
中国は、併吞(へいどん)を拒む台湾の頼清徳政権を「独立派」とみなしている。その排除を名目に台湾への干渉を強め、一方的な現状変更に動く恐れはある。そうした試みを看過しないトランプ政権の姿勢もうかがえる。
中国は、力による現状変更を試みることで東アジアに戦乱を呼んではならず、平和的対話に努めなければならない。
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2025年2月19日付産経新聞【主張】を転載しています
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