国連難民高等弁務官事務所の駐日事務所が、公式Xに投稿した画像で「ゴミ箱に捨てなければいけないもの」として「強制送還」を挙げたことに対し批判が殺到、同事務所は画像を修正した。
Forced deportation

UNHCR駐日事務所が2月15日、公式Xへ投稿した画像

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難民を支援する国際機関、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の駐日事務所が、公式Xに投稿した画像で「ゴミ箱に捨てなければいけないもの」として「強制送還」を挙げたことに対し、「不法移民の強制送還は主権国家として当たり前の権利」などとX上で批判が殺到し、同事務所は画像を修正した。「誤解を招く可能性があった」などと釈明している。

画像は2月15日に投稿されたもので、「ヘイト」や「偏見」「偽情報」など11の言葉がゴミ箱に捨てられるイラストが描かれ、その中に「強制送還」という言葉が含まれていた。

これに対し、「しれっと『強制送還』が入ってるけど不法滞在者を強制送還するのは法治国家では普通のことです。ゴミ箱に入れてどうする」「ゴミ箱に捨てなければならないものは不法滞在外国人、偽難民及び彼らを支援する組織で、日本人が安心して暮らせた日本を取り戻したいです」「USAID関係者?」などと批判が相次いだ。

この画像には元画像があり、スイス・ジュネーブにあるUNHCR本部の公式Xが昨年末に投稿した英文のもの。今回の画像はその翻訳で、「強制送還」に当たる原文は「ルフールマン」だった。

UNHCR駐日事務所が公式Xへ投稿した画像の元画像。UNHCR本部が昨年12月31日に公式Xへ投稿した

原文は難民条約上、難民認定申請者を迫害の恐れのある国へ送還することを禁じる「ノン・ルフールマン原則」を守るよう求めているにすぎない。だが、強制送還と翻訳することで、不法移民らを含めた強制送還に反対する意味となっている。

同事務所は17日夕になって「強制送還」の部分を原文のカタカナ表記に修正した画像を再投稿した。

同事務所は取材に対し「一般の方により分かりやすく伝えるために『強制送還』という言葉を使用したが、SNSの限られた文字数の中で説明が十分でなかったことは否めず、誤解を招く可能性があると判断した」としている。

同事務所OBは「強制送還という主権行為を『ゴミ箱に』と軽々しく言う駐日事務所は何を考えているのか、理解を超える」と話している。

UNHCR駐日事務所は昭和54年設立。所在地は東京・南青山で、日本人の代表以下、日本人や外国人の職員約20人が難民支援や啓発活動などを行っている。財政は各国の拠出金と民間からの寄付金をもとに、ジュネーブの本部から予算の分配を受けているという。

2025年2月18日付産経新聞【「移民」と日本人】を転載しています

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