
靖国神社
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戦後80年の今年、石破茂首相は先の大戦(大東亜戦争)を検証したい考えだ。
近く有識者会議を設置し、その報告を踏まえて、歴史観や戦争への見解を首相自身が会見で表明したいのだという。一方で、自民党内の懸念の声を受け、戦後80年の首相談話を終戦の日に出すことは見送る。
石破首相に強く求めたい行動がある。それは、春秋の例大祭や終戦の日などの機会に、靖国神社を参拝することだ。
談話よりも、有識者会議よりも、記者会見で私見を披露するよりも、礼を尽くして戦没者(英霊)を追悼、慰霊するほうが、はるかに大切である。
日本は大東亜戦争で、陸海軍人、民間人など合わせて310万人の同胞を喪(うしな)った。日本史上最大の悲劇といってよい。
戦争に思いを致すなら、靖国神社参拝こそが最もふさわしい振る舞いである。
靖国神社は近現代日本における戦没者追悼の中心施設だ。戊辰戦争や日清・日露の戦役なども含め、日本を守るため斃(たお)れた246万余柱の英霊をお祀(まつ)りしている。境内の鎮霊社では、空襲などで亡くなった一般国民を祀っている。

どの国も、伝統的様式に沿って戦没者を追悼している。それが、国に殉じた人々への礼節ある態度である。
国を守るため尊い命を捧(ささ)げた日本の英霊にとって、靖国神社に祀られることは自明だった。政治リーダーの参拝は日本国と英霊の約束に含まれる。
もちろん最も大切なのは天皇陛下の御親拝である。ところが、昭和後期以降、中韓両国の内政干渉などで首相の参拝が政治問題化し、多くの首相が参拝しなくなった。勅使の参向はあるものの御親拝は途絶えた。
首相就任前の昨年9月、石破首相は、天皇陛下の御親拝の環境が整わなければ自身は参拝しない考えを示した。倒錯した発想で理解しがたい。首相が参拝を重ね、御親拝の環境を整えていくのが務めではないか。
自民党(石破総裁)の今年の運動方針には「靖国神社参拝を受け継ぎ」とある。首相は昨年、靖国神社秋季例大祭に合わせ真榊(まさかき)を奉納した。尊崇の姿勢が真実であるのなら、戦後80年の今、中韓両国や心ない左派勢力に阿(おもね)ることはない。参拝して英霊に頭(こうべ)を垂れてほしい。
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2025年4月14日付産経新聞【主張】を転載しています
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