公明党の斉藤鉄夫代表らが中国を訪問した。超党派の日中友好議員連盟も訪中団を派遣する予定だ。日本の国会議員の訪問先として中国が際立って多い点には違和感を覚える。
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記者団の取材に応じる公明党の斉藤鉄夫代表

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公明党の斉藤鉄夫代表らが4月22~24日の日程で中国を訪問した。超党派の日中友好議員連盟(会長・森山裕自民党幹事長)も27~29日まで訪中団を派遣する予定だ。

中国共産党幹部や政府要人らと経済や安全保障などに関し意見を交わすとみられる。

世界には数多(あまた)の国があるが、日本の国会議員の訪問先として中国が際立って多い点には違和感を覚える。

日中両国にはさまざまな問題が横たわっている。斉藤氏は21日、「日本の国民が中国に抱いている懸念を話し合ってきたい」と語った。訪中する全ての議員は毅然(きぜん)とした態度で、日本の立場や日本国民の厳しい対中感情を伝えねばならない。

斉藤氏はまた、多国間安全保障対話の枠組みである欧州安保協力機構(OSCE)のアジア版創設について取り上げる考えも示した。だが、米国やオーストラリアなどの賛同は得られまい。形式的な機構作りより、中国に傍若無人な振る舞いをやめさせる方が先決だ。

習近平国家主席の国賓としての来日は新疆ウイグル自治区やチベット、香港などでの中国政府による人権問題や日中間の懸案のあまりの多さを鑑みれば、現状では許されない。各議員は習氏来日に期待感を示すような言動を慎むべきだ。

中国当局が複数の邦人を拘束している問題は進展がみられない。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を理由に中国側が停止した日本産水産物の輸入はいまだに再開されていない。

岩屋毅外相は王毅共産党政治局員兼外相と3月に会談し、戦略的互恵関係の推進で一致したが、この関係を進める環境は整っていない。

日中外相会談冒頭であいさつする中国の王毅外相(左)=3月22日、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)

トランプ米大統領の厳しい対中姿勢を受けて、中国は日本に秋波を送っている。日米同盟に楔(くさび)を打ち込む思惑もあるのだろう。中国の呼びかけに応じて日本の国会議員が漫然と訪中するとすれば、融和ムードを演出したい中国共産党政権を喜ばせるだけである。

習氏はベトナム、マレーシア、カンボジアを歴訪した。米国の関税政策に不満を抱く国々と反米で共闘する狙いがある。日本の国会議員は中国よりも東南アジア諸国や米国や欧州、豪州などを訪ね、関係強化に勤(いそ)しむ方が国益にかなう。

2025年4月22日付産経新聞【主張】を転載しています

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