大正12年の関東大震災を受け、東京の盆栽業者が県内にまとまって移住し形成された「大宮盆栽村」が開村から100周年。それに合わせさいたま市大宮盆栽美術館がリニューアルオープンした。
7QXHYNYOKNLE3GT3XEJUFMRDMI

リニューアルオープンしたさいたま市大宮盆栽美術館の庭園の池。池の水面には「青龍」が映る=同市北区(柳原一哉撮影)

This post is also available in: English

大正12年の関東大震災を受け、東京の盆栽業者が県内にまとまって移住し形成された「大宮盆栽村」(さいたま市北区)が開村から100周年。それに合わせ同市大宮盆栽美術館がリニューアルオープンした。コンセプトに掲げたのは「盆栽を魅せる美術館」。世界初の公立盆栽美術館はどう進化を遂げたか、早速訪れた。

リニューアルポイントの1つが庭園内の池だ。従来の70平方メートルから100平方メートルに拡張され、静水部分を設けた。岬の先端部に盆栽が置かれ、「鏡面池」にその姿が映し出されるようデザイン。さながら湖面に映る「逆さ富士」のような景観を作り上げている。

現状では、五葉松の「青(せい)龍(りゅう)」(推定樹齢350年)を配置した。「巨龍が体(たい)躯(く)をくねらせながら水際を走り、天空に向けて首をもたげて昇ろうとする姿を造形化」(同館)したとされ、水面に映り込んだ姿が雄々しい。

盆栽が並ぶ庭園を臨むさいたま市大宮盆栽美術館ロビー=同市北区(柳原一哉撮影)

また、池には新たに流水システムを導入。上流から湧き水が音を立てながら流れる山水をイメージし、静水部分に対する動のコントラストが見どころだ。

一方、暑さに弱い盆栽はこれまで日よけの覆いなどを用いてしのいできたが、今回の改修で池の周辺にミストを新設した。「盆栽への負担軽減に加え、来館者らの熱中症対策にもなる」(担当者)。

ところで記者が訪ねた際は、日本人に交じって熱心に鑑賞する多数のインバウンド(訪日外国人観光客)の姿が目についた。

館によると、令和5年度の来館者数約5万6千人のうち訪日客は約15%にも達する。米国やオーストラリアからの見学者が多いといい、改めて「BONSAI」が改めて世界に知られるキーワードになったと実感する訪問だった。

筆者:柳原一哉(産経新聞)

さいたま市大宮盆栽美術館 世界初の公立盆栽美術館として平成22年に開館。市の伝統産業である盆栽の文化を内外に発信。盆栽に関する歴史・民俗資料なども収集、公開する。昨年11月から休館して庭園改修を進め、3月21日に再開した。

アクセスガイド さいたま市北区土呂町2の24の3。JR宇都宮線土呂駅から徒歩約5分。首都高速埼玉新都心線「新都心西」出口から約6キロ。開館は3~10月が午前9時~午後4時半、11~2月が午前9時~午後4時。木曜休館。観覧料は一般310円。

This post is also available in: English

コメントを残す