残雪期の立山連峰の登山に行ってみた。今回の目的地は、天気がよければ立山連峰を間近に望むことができる、雷鳥沢キャンプ場。
ZIUCA2PGGRPGTIKHCBBNWJ754E

雷鳥沢では雪原に花が咲いたように色とりどりのテントが並んだ=富山県立山町(三尾郁恵撮影)

This post is also available in: English

春の富山といえばチューリップ、ホタルイカの身投げ、雪の大谷…。海から山まで魅力あふれるコンテンツが揃っているが、今回は最も過酷であろう残雪期の立山連峰の登山に行ってみた。立山黒部アルペンルート最高地点、外国人観光客にも人気の「雪の大谷」で有名な室堂(むろどう、標高2450m)の、さらに奥だ。

大きなザックを背負い雪原を歩く登山者(三尾郁恵撮影)

室堂でバスを降り、防寒着に身を包み、靴には軽アイゼンを装着して、残雪の山道を歩く。途中、人だかりができていたので見ると、国の特別天然記念物のライチョウが2羽座っていた。『ライチョウ国』とされている室堂周辺ならではの光景に驚きつつ、ひとまず手持ちのスマートフォンでシャッターを切った。

雪原にたたずむ2羽のライチョウ。室堂周辺は生息地になっている(三尾郁恵撮影)

緩やかな雪道を登ったり降りたり…約1時間歩くと、雪原に花が咲いたように並ぶ色とりどりのテントが見えてきた。今回の目的地、雷鳥沢キャンプ場だ。天気がよければ立山連峰を間近に望むことができる絶景のテント場で、4月中旬に立山黒部アルペンルートが開通すると春山登山や山岳スキーを楽しむ人が訪れる。

スコップで雪をならしてテントを張り、風除けに雪壁を作ったりしていると、楽しそうな声が聞こえてきた。どこかの国の国旗を掲げている人たちがいたので、調べてみるとインドネシアの国旗だった。動画を撮影しながらキャンプを楽しんでいた。

テントの周りには風よけの雪の壁がつくられいていた(三尾郁恵撮影)

雷鳥沢野営管理所で管理人を務める指崎彰さん(61)は「インドネシアのYouTuberが立山連峰を紹介しているらしく、ここ数年はインドネシアからのお客さんが増えています」と話していた。

夕方、日が暮れないうちに早めの夕食をとり、夜に備えた。山岳地帯のテント場の夜といえば、やはり星空の下で光るテント群だろう。

星空の下に光るテント群(10秒間露光の89枚を比較明合成)

三脚にカメラを据え、10秒間露光の写真を連続で約30分間撮り続けた。構図を変えて何パターンか撮りたいところだが、夜がふけるにつれテントの明かりは徐々に消えていく。

午後10時、テント泊の人たちは寝てしまったのだろうか、明かりがついたテントはほとんどなくなった。そろそろ潮時かと自分のテントに戻った。

筆者:三尾郁恵(産経新聞)

This post is also available in: English

コメントを残す