
新名神高速を逆走する車。逮捕されたペルー人の男も「外免切替」だった=5月18日、三重県亀山市(NEXCO中日本名古屋支社提供)
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警察庁の楠芳伸長官は5月22日、定例記者会見で、外国人が母国の運転免許を日本の免許へ切り替えられる「外国免許切替(外免切替)」制度について、住所確認を厳格化するため原則として住民票の写しの提出を求める方向で見直しを進めていることを明らかにした。

外免切替は、現状は住民票がなくても旅券と一時滞在証明書で外免切替が可能だが、楠長官は「住所を確認するための書類は申請者の国籍にかかわらず、住民票の写しとすることを原則とし、観光で滞在する方の外免切替を認めないこととする」と述べた。
国外に転出中の日本人や外交官などは例外的に住民票の写し以外の方法で住所を確認する方針。
また、知識確認(筆記試験)はイラスト問題で10問中7問の正解で合格だが、楠長官は「日本の交通ルールを十分に理解しているか確実に確認するため、知識確認、技能確認の方法を厳格化する」と述べた。
その上で、「今後、速やかに外免切替の改正案などを取りまとめ、パブリックコメントを実施するなど必要な手続きを進めたい」とした。
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外免切替に「穴」
外免切替により日本の免許を取得した外国籍のドライバーによる事件が相次いで発生している。
5月18日午前11時ごろ、亀山市の新名神高速道路下り線を逆走して対向車2台と衝突する事故を起こし、警察に報告することなく逃走。三重県警は19日、道交法違反(事故不申告)の疑いで、乗用車を運転していた滋賀県長浜市小堀町、ペルー国籍の会社員、ロッシ・クルーズ・ジョン・エリアス容疑者(34)を逮捕した。
埼玉県警は同県三郷市で小学生4人に車で衝突してけがを負わせて逃げたとして、18日に自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで中国籍の鄧洪鵬容疑者(42)を逮捕した。

国際運転免許証はの利用は道路交通に関する「ジュネーブ条約」に加盟する必要があり、未加盟のベトナムや中国、ネパールなどが外免切替制度を利用しているという。免許証の有効期間の関係からジュネーブ条約加盟国の外国人もこの制度を利用する場合もあるとされる。
警察庁によると、令和5年に外免切替で免許を取得した約6万人のうち最も多かったのはベトナムからが1万5807人で次いで中国からが1万1247人だった。
外免切替は、一部免除国を除き、知識確認や技能確認の「試験」が行われるが、在留カードを持っていなくても、宿泊先の滞在証明さえあれば試験を受けられる。旅行者が「受験」するケースもあるとされる。
知識確認は、最大24言語で受けられ、「○×式」の10問のうち7問正解で合格できる。日本の免許試験の場合、学科試験は、95問(100点)中90点が合格ラインで質問の少なさを問題視する声もあった。
(産経新聞)
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