天安門事件翌日、広場の近くで戦車の行く手を遮った男性は中国民主化運動の象徴となった。施行から5年となった香港国家安全維持法はいわば、香港に進駐した〝目に見えない戦車〟。香港にも戦車の前に立ちはだかる人々がいた。国安法の下で自由が奪われ、一国二制度が死んだ香港社会の変容ぶりを浮き彫りにする。

ハンター書店店長の黄文萱氏。ポスターには「恐怖を直視せよ」と書かれていた=香港・九竜地区(藤本欣也撮影)
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その書店のウェブサイトを見た瞬間、息をのんだ。トップページに広東語でこう記されていた。「ハンターになれ、無邪気な獲物になるな」と。香港は今、2020年に施行された香港国家安全維持法(国安法)という目に見えない戦車の砲弾がいつ、どこから飛んでくるか分からない時代なのだ。こんな刺激的な言葉を載せて大丈夫か-。
民主派の著作、天安門事件に関する本も
九竜地区にその「ハンター書店」はあった。入り口には「自由」と記された赤い紙が貼り付けられている。その下のポスターには「恐怖を直視せよ」と書かれていた。
筆者:藤本欣也(産経新聞)
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2025年6月28日付産経新聞【「戦車」に立ちはだかる香港人 国安法施行5年②】より
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