三菱商事が近く、主に日本向けとしてカナダ産液化天然ガスの輸入を始める。これまでカナダ産はほぼなく、大量輸入は初めて。
LNG gas British Columbia Canada

カナダ西部ブリティッシュコロンビア州キティマット地区にあるLNG基地(三菱商事提供)

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中東情勢の緊迫化で地政学リスクが高まる中、火力発電の燃料として欠かせない液化天然ガス(LNG)を巡り、日本に吉報が届く。三菱商事が近く、主に日本向けとしてカナダ産の輸入を始めるのだ。これまでカナダ産はほぼなく、大量輸入は初めてだ。資源に乏しい日本はLNG輸入量の半数超をオーストラリアとマレーシアに頼る。最も多いオーストラリアは生産量の減少が今後予想され、調達先の多様化が課題となっていた。地理的に優位なカナダ産は日本のエネルギー安全保障に大きく寄与する。

LNGは「Liquefied Natural Gas」の頭文字で、気体の天然ガスを冷却し液体にしたもの。液体にするのは、圧縮されて体積が気体のときの600分の1になり、タンカーでの大量輸送が可能になるからだ。天然ガスは国内でも新潟や千葉などで採掘されるが需要を賄う量はない。原油と同様に日本はほぼ全量を海外からの輸入に頼る。

原発再稼働が遅れる日本は火力発電への依存度が高い。発電量に占める火力の割合は約7割。このうちガス火力が最も多い。天然ガスは同じ化石燃料の石炭、石油に比べ、二酸化炭素排出量が少なく、クリーンなエネルギー源と位置付けられる。LNGの調達に支障が出れば国民生活や経済を直撃する恐れがある、いわば必需品だ。日本のLNG輸入量は6587万トン(2024年度)と、世界では中国に次いで2番目に多い。

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筆者:佐藤克史(産経新聞)

2025年6月29日付産経新聞【日曜経済講座】より

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