
海自掃海母艦「ぶんご」で行われたジェームス・E・アワー氏の日米共同葬礼=7月12日、京都府舞鶴市沖(吉村英輝撮影)
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知日派論客として日米同盟強化に尽力し昨年亡くなった、米ヴァンダービルト大名誉教授のジェームス・E・アワー氏の日米共同葬礼行事が7月12日、京都府舞鶴市沖で行われた。「自分が亡くなったら、日本海において海上自衛隊の掃海艇から遺骨を水葬してほしい」との遺言を受け、遺族や薫陶を受けた関係者ら約60人が参列した。
アワー氏は、産経新聞の「正論」執筆メンバーで、2015(平成27)年に外国人として初めて正論大賞を受賞。昨年5月16日、米南部テネシー州ナッシュビル市内で死去した。82歳だった。

葬礼行事は、海自の掃海母艦「ぶんご」の甲板上で行われた。長男らが立ち会う中、海自隊員が掲げた星条旗の下で、遺灰の入った壺は、日本海に静かに投入された。アワー氏は、米海軍時代の乗艦経験や、海自の研究などで、掃海活動への思い入れが深かった。
アワー氏は、米海軍の日本勤務時代に培った豊富な人脈や学識を生かし、日米安全保障への提言を続けた。式典で斎藤聡(あきら)・海上幕僚長は、師事した海自隊員が現在は「海上防衛戦略の中核を担っている」と評価した。一方、在日米海軍司令官のイアン・ジョンソン少将は、「米海軍と海上自衛隊の信頼できる橋渡し役だった」としのんだ。
また、教え子である長島昭久首相補佐官(国家安全保障担当)は、「集団的自衛権の法的枠組みや在日米軍の役割などに真正面から取り組んだ」と述べ、アジア太平洋地域の安保環境におけるアワー氏の功績をたたえた。

筆者:吉村英輝(産経新聞)
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