中国江蘇省蘇州市で、子供を連れて歩いていた日本人女性1人が何者かに襲われて負傷した。
woman attacked in suzhou China

日本人女性が襲われたとみられる中国江蘇省蘇州の地下鉄駅構内。警備員が警戒に当たる=8月1日(共同)

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中国江蘇省蘇州市で7月31日、子供を連れて歩いていた日本人女性1人が何者かに襲われて負傷した。日中関係筋が8月1日に明らかにした。容疑者の身柄は確保されておらず、日本人を狙った犯行かといった動機は明らかになっていない。蘇州では昨年6月にも日本人母子が中国人の男に切り付けられて負傷する事件が起きていた。

邦人女性は地下鉄駅構内で何者かに石のようなもので殴られて負傷した。病院で治療を受けたが、命に別条はないという。女性と一緒にいた子供は負傷していないもようだ。

在中国日本大使館は1日、在留邦人に対し「外出の際には不審者の接近など周囲の状況にくれぐれも留意」するといった注意喚起のメールを送った。日本政府は今回の事件を受け、容疑者の速やかな確保と厳正な処罰、類似事件の再発防止、邦人の安全確保を中国政府に求めた。

中国は今年を抗日戦争勝利80年の節目の年と位置付けており、7月25日には旧日本軍による南京占領で起きたとされる「南京事件」を題材にした映画「南京写真館」が公開された。こうした動きを受け、日本大使館は「反日感情の高まり」に注意を促している。

スクールバスの案内係、胡友平さんと日本人母子への切り付け事件現場とみられるバス停=2024年6月29日、中国江蘇省蘇州(共同)

蘇州では昨年6月24日に、日本人女性と未就学児がバス停で日本人学校のスクールバスを待っていたところ、中国人の男に刃物で襲われて負傷する事件が起きている。男を阻止しようとしたバス案内係の中国人女性、胡友平さん=当時(54)=が刺されて死亡した。中国では昨年9月に広東省深圳(しんせん)で日本人男子児童の刺殺事件も起きている。

日本企業団体「極めて遺憾」

中国に進出する日本企業でつくる「中国日本商会」は1日、事件を受け、「このような事案が再び発生したことは極めて遺憾」だとするコメントを発表した。

商会は「本件の発生を極めて深刻に受け止めている」と指摘。「在中日本企業にとって、社員とその家族の安全確保は、中国でビジネスを行う上での基本」だと強調し、邦人の安全確保や事件の背景を含めた詳細情報を速やかに明らかにすることを日中両政府に求めた。

蘇州は、江蘇省南部の商工業都市として日本企業も多く進出している。外務省の海外在留邦人数調査統計によると、昨年10月時点で蘇州に住む日本人は前年比7・4%減の4919人だった。

筆者:三塚聖平(産経新聞中国総局)

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