ローマ教皇レオ14世は、広島への原爆投下から80年を迎えたのに合わせ、一般謁見で、核兵器の抑止力に頼る安全保障は「幻想」だと批判した。

ローマ教皇レオ14世=バチカンのサンピエトロ広場(ロイター=共同)
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ローマ教皇レオ14世は8月6日、広島への原爆投下から80年を迎えたのに合わせ、一般謁見で、核兵器の抑止力に頼る安全保障は「幻想」だと批判した。5日には核兵器に反対するメッセージを発表したが、保有国に対する直接批判には踏み込まず、前教皇フランシスコとの温度差を浮き彫りにした。

レオ14世は6日、広島が経験した悲劇は「核兵器による破壊への警告になっている」と発言。相互破壊の脅威に基づく核抑止を脱し、対話や信頼醸成を進めるよう訴えた。5日のメッセージは広島市内で開かれた平和集会に寄せたもので、「戦争は常に人類にとっての敗北である」という前教皇の言葉を引用。平和のために武器を置く勇気が必要だと促した。
前教皇は2019年、広島を訪問した際のメッセージで、「核兵器保有は倫理に反する」と発言。22年、バチカンで岸田文雄首相(当時)と会談した際にも「核兵器保有は理解しがたい」と述べるなど、保有国を繰り返し批判してきた。レオ14世は今年5月、米国人として初めて教皇に即位した。
筆者:三井美奈(産経新聞パリ支局)
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