
自民党総裁選への出馬が予想される(左から)高市早苗前経済安保相、小泉進次郎農水相、林芳正官房長官
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自民党は退陣表明した石破茂首相(党総裁)の後継を決める総裁選について、所属国会議員と全国の党員・党友が投票する形式で実施すると決めた。
9月22日告示、10月4日投開票の日程で行う方針も決定した。
党員・党友も参加する形式で行うことは妥当だ。実施方法には、国会議員票と都道府県連各3票の合計で行う簡略型もある。だが、党の立て直しには国会議員票の比重が大きい簡略型ではなく、党員・党友も投票し、民意がより反映されやすい形で行うことが肝要だ。
総裁選は国会議員票295票と党員・党友による地方票295票の計590票を巡る争いになる。過半数を獲得した候補者がいない場合は、上位2人が決選投票に臨む。
自民は最近の国政選挙で、勢力を大幅に減らしている。7月参院選では比例代表で1281万票を得たが、令和4年の参院選に比べて545万票もの減少だ。3年の衆院選では1991万票も獲得していたのと対照的である。
要因の一つに自民を支えてきた保守層が「石破自民」を見限り、支持を参政党や国民民主党に移したことが考えられる。

総裁選に名乗りを上げる政治家は、党が危機的状況にあることを自覚し、国家観や具体的な政策を国民に示してもらいたい。徹底した政策論争と全国遊説で支持基盤を固め直し、党再建の第一歩にすることが求められる。有権者はどの候補が日本を守り抜けるかをしっかり見定めねばならない。総裁選を信頼回復につなげられなければ後がない、と自民は知るべきだ。
総裁選はこれまで派閥単位で特定候補を推すことが多かったが、昨年の総裁選は麻生派を除き、派閥がほぼ解消される中で行われた。旧派閥の影響は今も一部に残っているが、問われるべきは政策の中身のほか、トランプ米大統領や習近平中国国家主席ら外国首脳と渡り合える識見と胆力を持っているかどうかである。
安倍晋三元首相がテロリストによる凶弾に倒れてから3年以上が経(た)った。暴力による言論封じは絶対に許されない。安全がしっかり確保された環境で、政策論争や街頭演説が行えるようにしなければならない。民主主義を守るために警備には万全を期したい。
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2025年9月10日付産経新聞【主張】を転載しています
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