
日本維新の会から初当選した石平氏=神戸市内(南雲都撮影)
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中国政府が、日本維新の会の石平(せきへい)参院議員に、中国国内の財産凍結や入国禁止などの制裁を科した。
中国外務省は理由として、石氏が台湾や尖閣諸島、歴史、ウイグル、チベット、香港などをめぐり「誤った言論をばらまいた」ことや、参院議員当選後に靖国神社を参拝したことを挙げた。
反外国制裁法に基づく対抗措置だという。中国外務省報道官は、中国出身の石氏が日本国籍取得後、「日本の反中勢力と同じ穴のムジナ」となって中国を中傷したと決めつけた。
日本は表現の自由、言論の自由が保障される国だ。日本での言論活動を理由に制裁を科し、自由を侵すことは許されない。靖国神社参拝を含め日本の国会議員の言動に制裁を科すのは言語道断の内政干渉でもある。
中国政府は石氏への不当な制裁を直ちに撤回すべきだ。
反外国制裁法は、対中制裁への反撃目的で2021年6月に施行された。同年7月には、香港民主派を弾圧した中国当局者を米国が制裁対象にした報復として、米国のロス元商務長官らに制裁を科した。米国の制裁は人権弾圧への当然の対応で、自由や人権を侵す専制中国の不当な制裁とは異なる。

石氏は日本留学中に起きた1989年の天安門事件に衝撃を受け自由な日本への帰化を決意した。その後、中国の専制主義や人権侵害を批判してきた。
今回の制裁には石氏の直系親族にまでビザを発給せず、香港を含め入国を許可しない内容もある。露骨な脅しである。
石氏は「中国には十数年行っていないし、中国に財産もないので全く影響はない」と述べた。さらに「(制裁は)日本で正しい政治活動をしてきたことの証しでもありむしろ光栄だ。勲章をもらったようなものだ」と皮肉交じりに切り返した。圧力に屈することなく言論、政治活動に励んでもらいたい。


林芳正官房長官は会見で、外交ルートで制裁撤回を求めたことを明らかにした。さらに「国民の代表たる国会議員の表現の自由はわが国の民主主義の根幹で尊重されるべきだ」「自らと異なる立場を威圧するかのような一方的措置は断じて受け入れられない」と語った。石破茂首相はだんまりではいけない。傍若無人な中国政府を強くたしなめる発言をすべきである。
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2025年9月10日付産経新聞【主張】を転載しています
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