世界陸上を前に、大手スポーツメーカーのアシックスは、トップアスリート向けランニングシューズなどの開発拠点となる「スポーツ工学研究所」を報道陣に公開した。
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最先端技術でアスリートを支える「アシックススポーツ工学研究所」=神戸市西区(アシックス提供)

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陸上の世界選手権東京大会(9月13日開幕)を前に、大手スポーツメーカーのアシックスは、トップアスリート向けランニングシューズなどの開発拠点となる「スポーツ工学研究所」(神戸市西区)を報道陣に公開した。今回の大会に向け、同社は契約選手らに同研究所の最先端技術を取り入れ、従来品をアップデートしたシューズなどを提供しており、選手だけでなく同社の開発陣にとってもその真価が問われる大会となる。

アシックススポーツ工学研究所ではさまざまなデータを測定・解析する設備を備え、シューズ開発などに活用している=神戸市西区

同研究所は平成2年に竣工。所内で生産技術や製品、素材の分析・評価まで行えるため、さまざまな研究開発手法を可能にするのが強みだ。竹村周平所長は「ヒトの動きを科学的に分析・解析して商品化する」と説明する。

所内には最新技術で製品開発を支えるさまざまな設備を完備。シューズ素材の研究開発などを手掛ける「化学分析室」や製品の形状モデルなどを作成する「CAE(コンピューター設計支援)ルーム」、あらゆる気象条件を再現して製品を評価する「人工気象室」などを備える。また選手個々の特徴や動作などを詳細に測定・分析し、パフォーマンスの最大化につなげる設備も充実している。

世界陸上東京大会に出場する契約選手らに向けて開発されたランニングシューズ=神戸市西区(香西広豊撮影)

この日の報道公開では、全身にモーションキャプチャー用のマーカー68個を付けた社員ランナーが実験走路をランニング。その両脇を複数台のカメラで追跡し、瞬時に動作解析データがモニターに映し出される様子が紹介された。ランナーの走り方やピッチ(歩数)、ストライド(歩幅)、腕の振り方、重心移動の特徴や癖などが解析できるのだという。

今回の世界陸上では、研究所の最新技術を取り入れたランニングシューズを選手に提供する。既存のランニングシューズをアップデートし、さらなる軽量化やクッション性の向上などを実現した。その上で「(選手は)ケガに対して非常にシビアなので、(ランニング時の)安定性にも配慮した」(竹村所長)という。

シューズは、ストライドをより伸ばし、少ない歩数でゴールできる「ストライド型ランナー用」、ピッチを調整しながらストライドが伸ばせる「ピッチ型ランナー用」のほか、片足分の重量がわずか129グラムの超軽量タイプの3種類を用意。「アスリートに最大限のパフォーマンスを発揮してもらいたい」(竹村所長)と期待している。

(産経新聞)

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