陸自・第1輸送ヘリコプター群第103飛行隊の浜畑信康1等陸尉はパイロットになる夢をかなえ、数々の災害現場で活躍を続ける。
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「クルーは家族のような関係」と語る浜畑信康1等陸尉=千葉県木更津市の木更津駐屯地 (松崎翼撮影)

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「パイロットになりたい」。陸自・第1輸送ヘリコプター群第103飛行隊(千葉・木更津)の浜畑信康1等陸尉(52)が小学生のころ、タイムカプセルに入れて地中に埋めた大空へのあこがれ。陸上自衛隊でその夢をかなえ、数々の災害現場で活躍を続ける。

2004(平成16)年のインドネシア・スマトラ島沖地震では、83日間にわたり国際緊急活動に従事。「何とか被災者の役に立ちたい」と、被災地に医療隊や救援物資を運ぶ任務に取り組み、文字通り国際貢献の一翼を担った。「災害派遣は成果が目に見えて表れる。少しでも喜んでもらえるとうれしい」

脳裏に焼きついて離れない光景がある。平成23年の東日本大震災。がれきの山、立ちのぼる紅蓮(ぐれん)の炎。変わり果てた街の姿に言葉を失った。何とか心を落ち着かせ、福島第1原発事故への対処や、被災者支援などに力を尽くした。

東日本大震災による津波で浸水した岩手県陸前高田市=2011年3月12日(陸前高田市提供)

西郷隆盛が座右の銘とした「敬天愛人」を旨とし、クルーとの信頼関係の構築を大切にする。浮かない顔の隊員がいれば積極的に声をかける。「任務の遂行にはクルーの連携が欠かせない。家族のような関係です」。高めたチームワークは、3500時間の無事故飛行にもつながっている。

後進の育成に力を入れながらも、技量向上を追い求める姿勢に変わりはない。「戦い方も科学技術の進化で変わってきている。新しい知識を吸収し続け、求められる任務に対応できるようにする」。力強く語った。

筆者:松崎翼(産経新聞)

浜畑1等陸尉は、国民に感銘を与える行動で著しい功績のあった陸海空自衛官を顕彰する「第23回国民の自衛官」(産経新聞社主催、防衛省協力)の受章者のひとり。表彰式は10月、東京都新宿区のホテルグランドヒル市ケ谷で行われる。

2025年9月12日付産経ニュース【国民の自衛官 横顔④】を転載しています

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