
防衛力の抜本的強化に関する有識者会議であいさつする座長の榊原定征元経団連会長=9月19日、防衛省(代表撮影)
This post is also available in: English
防衛省が設置した防衛力の抜本的強化に関する有識者会議(座長・榊原定征元経団連会長)は9月19日、原子力推進型を念頭に現在より航続距離の長い潜水艦の保有検討などを提言した。防衛省は令和9年度まで5年間の防衛費を43兆円とした現行の防衛力整備計画の改定前倒しを見据え、本格的な検討に入る。提言では防衛装備品の輸出に関し、非戦闘目的の「5類型」のみを認める現行ルールの緩和も要請した。
提言では、「抑止力の大幅な強化につながる」として、潜水艦に長射程ミサイルを発射できる垂直発射装置(VLS)の搭載に言及した。長距離・長期間の移動や潜航を行えるよう「従来の例にとらわれることなく、次世代の動力を活用すること」の検討を求めた。

9年度に防衛費を関連経費と合わせて国内総生産(GDP)比2%とする政府目標を「国家意思を示す」と評価し「さらなる防衛力の強化のために必要な対応」を説明すべきだとして増額に向けた議論も求めた。
現在、防衛装備品は救難▽輸送▽警戒▽監視▽掃海-の5類型に限り容認されている。提言では「移転の道を広げていくことが必要だ」とし、他国から脅威を受けている友好国への装備移転は殺傷能力のある武器を含め「制限を設けないとする考え方も一案だ」と求めた。
また、国内の防衛産業について「独自の資金力では自主的な研究開発は進みにくい」と懸念し、企業の集約化や国営工廠(軍需工場)の導入検討も盛り込んだ。
有識者会議は4年策定の国家防衛戦略に基づき防衛力強化へ向けた企画立案機能強化のため昨年2月に設置された。榊原氏のほか、北岡伸一・国際協力機構(JICA)前理事長、杉山晋輔・元米国特命全権大使、島田和久元防衛事務次官ら計17人で構成され、定期的に会合を開催してきた。
(産経新聞)
This post is also available in: English