参政党の神谷宗幣代表は、国益とはまず国民が幸せに暮らすこと、そして過去の世代と未来の子どもたちの尊厳を守ることだと語る。
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JAPAN Forwardのインタビューに答える神谷宗幣・参政党代表(©JAPAN Forward)

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参政党は、日本の政治において比較的新しいが急速に支持を拡大している政党だ。同党は、一部の報道で「カルト的」と形容されてきた。草の根の支持者たちは日本の政党としては異例の熱量を持っており、「日本人ファースト」といった同党のスローガンは国内外で議論を呼んでいる。

しかし、参政党の神谷宗幣代表は、そうした批判は運動そのものよりもむしろ既存の政治勢力が抱く不快感を示すものだという。

「参政党の特徴はそのメンバーの熱意にある」ー。神谷氏は、JAPAN Forwardの独占インタビューでそう述べ、党の急成長の背景や政策、靖国参拝への思い、地方重視の理念などについて大いに語った。

「私たちの支持者は純粋に党の理念や、日本をより良くしたいという思いで動いているのです」と説明した。参政党は、古い政党とは異なり、業界団体や既得権益が背後についていないという。

目に見える見返りがないため、外部の人々にはその献身が理解しにくい。説明できないものに直面したとき、批判者はそれを宗教的、あるいはカルト的と片付けがちだと神谷氏は言う。「不都合な議論を陰謀論と片付けるのと同じことです。」

「日本人ファースト」論争

国内外で議論を呼ぶ「日本人ファースト」という参政党のスローガンは、必然的にトランプ米大統領の「アメリカ・ファースト」と比較される。

神谷氏はその類似性を認めつつも、スローガンは党員の意見を調査して生まれたもので、外国から借用したものではないと説明。格差拡大や中間層の空洞化をもたらすグローバリズムや経済政策に反対を示すものだという。「私たちが強調したかったのは、普通の日本人の日常生活を守ること」と語った。

それでも、言葉の選び方は微妙だと認める。外国人差別と受け取られるのではないかと懸念する声もある。神谷氏は「このスローガンを排外主義と結びつける意図は全くない」とする一方で、言葉の誤解を避けるため、必要に応じて表現の見直しも検討すると述べた。

JAPAN Forwardのインタビューに答える神谷宗幣・参政党代表(©JAPAN Forward)

「命のバトン」つなぐ社会

神谷氏は家族や人口問題を強く訴える。社会は親や祖父母から受け継がれる「命のバトン」によって成り立っており、現代の日本人が自己中心的になると社会は崩壊すると警告する。

参政党は、子ども1人あたり月10万円の手当、大規模家族への年金・税制優遇、子育て支援などの幅広い政策を提案する。神谷氏は、「外国人労働力を呼ぶためにお金を使うくらいなら、若い日本人家庭を支えて子どもを増やす政策が必要だ」と訴えた。

さらに、神谷氏は、人口問題の改革には文化的・道徳的な再生が不可欠だと強調する。「子育ては大変だが、それは成長と喜びをもたらすものであり、日本社会はその感謝の気持ちを取り戻す必要がある。一番大事なのは人の心、日本人の心です。子どもを持つことは祝福であり、感謝の心を育むことが重要だ」と述べた。

靖国参拝と歴史認識

神谷氏は8月15日の終戦記念日に靖国神社を参拝したことについても語った。参拝は海外で批判を浴びたが、その多くは歴史の誤解に基づくものだと主張する。

国際的には、日本は特異的に侵略的だったと描かれることが多いが、それは当時の植民地状況を無視しているという。「当時、アジアのほとんどは西洋列強に植民地化されていました。日本は生き残るために軍事的に拡大せざるを得なかったのです。強い自衛の要素がありました。」

靖国参拝が戦争を美化するという考えについて、同氏は否定する。「どの国も、自国を守って命を落とした人を追悼します。日本も同じことをして当然です。」

参拝の意義は、犠牲に敬意を表しつつ、過ちを繰り返さないと誓うことにあると説明する。「海外に説明すべきなのは、靖国に行くのは戦争を正当化するためではなく、自国を守るために命を落とした先人たちを追悼し、感謝の気持ちを示し、二度とあのような戦争をしないと誓うためだということです。」

靖国神社への参拝を終えて取材に応じる参政党の神谷宗幣代表=8月15日午前、東京都千代田区(松井英幸撮影)

党の成長とリーダーシップ

参政党は国会議員4人から18人へと急成長した。党内の一部の批判者は、神谷氏が強権的に統治していると指摘する。

神谷氏はその見方を否定し、参政党は「DIY政治」に根ざしており、メンバーが持ち寄ったアイデアを党執行部で検討しており、メンバーの意見を尊重する構造だと説明した。

神谷氏は、予算や人事の最終決定を委ねられていると認めながら、「明確な権限がなければ党は内紛で崩壊する。メンバーがその方針に従う意思を示している」とし、「もし本当に独裁的なら、誰も残らない」と語った。

現在総裁選を実施する自民党については、既得権益としがらみが多く、自己改革能力を失っているという。「自民党は絶対に変わりません。変われないのです。党は解党してやり直すべきだ」と厳しい評価を下した。

国の基盤は地方に

福井県の小さな町の出身である神谷氏は、地方再生の重要性を強調する。

神谷氏は、「都市は食料もエネルギーも生産しません。すべてを地方に頼っています。それなのに都市の人々は、地方が自分たちと無関係だと思っている。これは危険だ」と述べ、都市住民の地方衰退への無関心に警鐘を鳴らした。

JAPAN Forwardのインタビューに答える神谷宗幣・参政党代表(©JAPAN Forward)

そのうえで、地方の活力が都市の繁栄の基盤であることを改めて強調。「強い地方がなければ、都市は生き残れません」と語った。

皇位継承の立場

繊細なテーマである皇位継承について、神谷氏は自身の立場を明確にしようとした。党としては男系継承の維持を支持していると強調した。

一方、神谷氏自身は、男性皇族が若すぎる場合には、歴史的にも例があるように一時的に女性皇族が務めることは可能だと述べている。
しかしそれは決して恒久的な制度変更の支持を意味しないと強調する。「最優先すべきは、養子や旧宮家の復帰によって男系の皇族を増や
すこと」と言明し、一時的に女性皇族が即位する場合でも、それはあくまで「橋渡し」であり、恒久的な変更ではないと明言した。

政治活動のリスク

神谷氏はまた、政治活動のリスクについても言及した。安倍晋三元首相が暗殺され、米国では保守活動家のチャーリー・カーク氏が殺害された。神谷氏への嫌がらせも激化しているという。

「無名の頃は問題なかったのですが、国会に入ってからは街頭演説での妨害やネット上での中傷がエスカレートしています」と語った。

米ユタ州オレムのユタバレー大で、銃撃されたイベントで話すチャーリー・カーク氏=9月10日(Tess Crowley/The Deseret News提供、AP=共同)

反対派が拡声器で演説をかき消したり、発煙筒のようなものを焚くこともあるという。今すぐ身の危険を感じてはいないが、「このまま放置すれば、物理的な攻撃に至る可能性がある」と述べ、気を引き締めている。

それでも沈黙するつもりはない。「政治家が恐怖で口を閉ざせば、民主主義そのものが崩壊する」とし、発言を続ける決意を示した。

強く自立した日本を

最後に神谷氏に、参政党の使命を尋ねると、次のような答えが返ってきた。

それは「過去を忘れず、祖先を敬い、未来に責任を持つ日本」を築くことだ。まずは、国民が幸せに暮らすこと、そして現代を生きる国民だけでなく、未来の世代や過去の世代までもが尊厳を持って生きられる国づくりをすることだという。「日本はそのために自らを守れる、強く自立した国家を築かなければなりません」と強調した。

そのうえで、「『負けたから仕方がない』と肩をすくめる国になってほしくない。日本にはまだ可能性がある。国民がその潜在力を実感できる国を築きたいのです」と力強く語った。

著者:ダニエル・マニング(JAPAN Forward記者)

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