
自民党の高市早苗総裁(中央)=10月5日午後、東京・永田町の党本部
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自民党の高市早苗総裁は10月中旬召集予定の臨時国会での首相就任直後から、立て続けに重要な外交日程に臨む。なかでも正念場は10月27~29日で調整されているトランプ米大統領の訪日だ。初の対面での首脳会談開催が想定され、日米同盟の深化と個人的信頼関係の構築が求められる。高市氏を「タカ派」とみる中韓には、主張すべきは主張しながら関係を進展させていく必要がある。

トランプ氏の訪日は、令和元年6月に大阪市で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)への参加以来だ。当時の安倍晋三首相はトランプ氏の趣味であるゴルフを通じた交流にも取り組み、強固な個人的信頼関係を築いた。その信頼関係を礎に、日米関係は大きく深化した。

高市氏は外交分野の要職経験がなく、外交手腕は未知数だとみる向きもある。ただ、高市氏周辺は「高市氏は人間力がある。心配ない」と自信をのぞかせる。
首脳会談が実現した場合、トランプ氏からは防衛費負担増を求められる可能性もある。これに対し、高市氏自身も防衛費増額には前向きだ。令和9年度に国内総生産(GDP)比2%まで防衛費を増やすと定めた安保関連3文書について、米シンクタンクへの1日付の寄稿で「不断に検討を重ねていく」と明記。緊張の度合いを高める東アジア情勢を踏まえ、2%以上への引き上げも視野に入れている。
また、高市氏は31日に韓国で始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席する見通しだ。訪韓中に韓国の李在明大統領との首脳会談に加え、中国の習近平国家主席との首脳会談が実現できるかが大きな焦点となる。

米シンクタンクへの寄稿では「台湾海峡の平和と安定は日本の関心事で、国際社会のためにも重要だ」と言及した。そのうえで、習氏の名指しは避けつつ「中国のリーダーともしっかり、率直に対話したい」とした。習氏に対し、日本側の立場を明確に伝える機会とすべきだ。
ただ、靖国神社参拝を続けてきた高市氏に対し中韓の警戒感は高い。高市氏は総裁選期間中は首相就任後の参拝を巡る対応を明言しなかった。17~19日は靖国神社の秋季例大祭が営まれる。高市氏は例年、秋季例大祭に参拝を続けてきた。保守層の参拝への期待は強く、高市氏の対応が注目される。
筆者:大島悠亮(産経新聞)
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