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新潟県佐渡島の生き物を紹介する映像記者、大山文兄のフォトエッセイの第27回目は海に潜り、スズメダイなどの海の生き物を紹介します。海の中の地蔵にも出会いました。
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海の中の地蔵。海の安全を祈願して設置された(大山文兄撮影)

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海に囲まれた佐渡は1年中、海に潜ることができるダイバーにとっては天国のような場所だ。日本海のため熱帯魚のようなカラフルな魚を見ることはできないが、食卓にのぼる身近な魚を間近で見ることができる。普段は特別天然記念物、トキを毎日追いかけているが、今回は海の生物にカメラを向けた。

10月中旬。佐渡の南西にあたる小木海岸に出かけた。

沿岸に生息するスズメダイの群れ(大山文兄撮影)

肌寒くなってきているが、海の中の温度は22度と意外と温かい。ダイビングショップフリーウェイのインストラクター、小出博之さんの案内で スズメメダイが定着しているというスポットに向かうと、すぐに大群に出会うことができた。

何千ものスズメダイが群れをなし、道を作っているように見える。海流に沿ってゆらりと方向を変える。ダイバーが近づいても逃げることはない。そのままスズメダイの道を追いかけていきたくなった。

ダイバーの人気者

スズメダイは10センチ前後の大きさで、青森から九州までの沿岸に生息している。日本海で越冬している。暖かい地域のサンゴ礁にいる、青色に美しく光るルリスズメダイと同じ科目に属するが、佐渡のスズメダイの色はくすみ、黒っぽく見える。鱗が大きく、背びれの後ろに斑紋があり、光って見える。

撮影ポイントは、流れが岩にぶつかり、動物プランクトンなどのエサがとりやすいため、スズメダイが定着しているという。魚はいじめられないとわかっているため、ダイバーを怖がらない。

スズメダイは臭みがあるため、釣り人は釣っても食べずにリリースすることが多い。料理方法や地域によっては「美味」として食べられるが、ここ佐渡では、ヒトはスズメダイの敵ではない。

ダイバーがライトを照らしてもスズメダイは全然逃げない(大山文兄撮影)

タコの卵や岩ガキも

岩礁でイソギンチャクのようなタコの卵や岩ガキも観察された。

大量の岩ガキ(大山文兄撮影)

お母さんダコは生涯に1度しか卵を産まないという。今回のダイビングでは、お母さんダコを見つけることはできなかった。

岩ガキはとることは禁止されているため味を試すことはできないが、店で提供される立派な天然物という。

岩に産みつけられたタコの卵(大山文兄撮影)

インストラクター歴14年の小出さんは「小さい魚の群れがこれから大きくなる。それらを狙ってイナダやカンパチなどがやって来て捕食する迫力のあるシーンが見られるようになる」と話す。

スズメダイにとってヒトは安全だが、海は捕食者で満ちている。

このスポットは、地蔵が沈められていることでも知られる。

地蔵の高さは台座を含め約2m。40年前に、海の安全を祈願して設置された。水の中にあるため、年月を感じさせないぐらい状態がよかった。ダイバーの安全も祈願してくれているように見える。

豊かな佐渡の海は見所が満載だ。

筆者:大山文兄(フォトジャーナリスト)

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大山文兄(おおやま・ふみえ)産経新聞社写真報道局で新聞協会賞を2回受賞。新聞社時代に11年間にわたり、トキの野生復帰を取材。2020年に退社して佐渡島に移住、農業に従事しながら、トキをはじめとする動物の写真を撮り続けている。映像記者として佐渡の魅力を発信中。インスタグラムでフォローしてください。

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