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訪問先の韓国で高市早苗首相と中国の習近平国家主席が初めて会談した。首相には、日本と地域の平和と安定、繁栄を守る対中外交を期待したい。
Sanae Takaichi Xi Jinping first summit

日中首脳会談を前に中国の習近平国家主席(右)と握手を交わす高市早苗首相=10月31日、韓国・慶州(代表撮影・共同)

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訪問先の韓国・慶州で高市早苗首相と中国の習近平国家主席が初めて会談した。

両首脳は、日中の共通利益を拡大する「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係の構築で一致した。

高市首相は、率直に対話を重ね、首脳同士の関係を深めていきたいと習氏に呼びかけた。日本にとって中国は深い経済関係がありながら多くの問題を抱える隣国で、最大の軍事的脅威でもある。それだけに首脳同士の対話は重要だ。

高市政権の発足にあたり、日中首脳会談が実現した点は評価できる。首相には、日本と地域の平和と安定、繁栄を守る対中外交を期待したい。

会談で首相は、尖閣諸島を含む東・南シナ海の問題や中国のレアアース輸出規制、在中邦人の拘束、香港・ウイグルなどの人権状況への懸念を伝えた。日本産水産物の輸入再開も取り上げた。習氏が台湾問題を核心的利益とする中国側の立場を伝えたのに対し、首相は「地域の安定安全にとって両岸関係が良好であることが非常に重要だ」とくぎを刺した。

これからも日本の立場や懸念を率直に伝えてもらいたい。

日中首脳会談=10月31日、韓国・慶州(首相官邸)

気になるのは、岸田文雄内閣(当時)から日中両政府が復活させた「戦略的互恵関係」の推進を踏襲したことだ。現実の両国には互恵関係を追求するような基礎はない。習政権の対日姿勢に大幅な改善が見られない限り、関係強化は困難であることを指摘しておきたい。

高市首相は10月21日に就任したが、習氏からの祝電はなかった。習氏は石破茂前首相や岸田、菅義偉両元首相には就任当日に祝電を打っていた。いかにも大人げない態度だが、高市首相を対中強硬派とみて嫌っていると示したかったのだろう。首脳会談は当初、実現が難しいとみられていた。

だが会談は実現し、習氏は首相の所信表明演説を念頭に「首相と内閣が中日関係を重視している」と評価してみせた。

習氏豹変(ひょうへん)の背景には、首相がトランプ米大統領来日で強固な日米同盟の発信に成功したことがある。また、高市内閣の支持率が極めて高い点も挙げられる。弱体政権ではなく交渉相手とせざるを得ないと習氏は判断したのだろう。日本国民が高市外交を後押しした形だ。

2025年11月1日付産経新聞【主張】を転載しています

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