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女性初の首相となる高市首相の誕生で、「ガラスの天井」を破った快挙となる一方で、女性目線の施策を考え、実行する議員数が増えているとは言い難い状況が続く。
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衆院本会議で就任後初めての所信表明演説をする高市早苗首相=10月24日午後

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産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で75・4%という高い内閣支持率を見せた高市早苗首相。女性初の首相で、「ガラスの天井」を破った快挙となる一方で、女性目線の施策を考え、実行する議員数が増えているとは言い難い状況が続く。専門家は「環境改善で女性議員の割合を増やしていく必要がある」と訴える。

トランプ米大統領(左)を出迎え、握手を交わす高市早苗首相 =10月28日午前、東京・元赤坂の迎賓館(代表撮影)

10月28日に東京で行われたトランプ米大統領との初の対面での首脳会談も無難にこなすなどまずまずの外交デビューを果たした高市首相。世界経済フォーラムが今年6月に発表した「ジェンダー・ギャップ指数(GGI)」で、日本は特に国会議員の男女比などから算出される「政治」の指数だけが低いことから、148カ国で118位に留まっていたが、これの改善にもつながるとされる。

三重大の岩本美砂子名誉教授(政治学、女性学)は「日本でも女性が国のトップとなれるというロールモデルを示した。世の中に女性の政治リーダーを浸透させる大きな第一歩であり、女性の政治家が増えていくだろう」と期待を示す。一方で、組織が危機的状況のときほど女性がトップの地位に置かれやすく、短期間で男性にとってかわられる、いわゆる「ガラスの崖」に立たされる現象が起きるとして、「女性がより活躍できるようにするには、長期的な改革が必要だ」と強調する。

一方で、日本の国会議員に占める女性の割合は少しずつ増えており、今年10月時点で、衆議院で15・4%、参議院で29・8%となっているが、国際的に見れば低い水準が続く。

地方議員も同様で、公益財団法人市川房枝記念会女性と政治センターと京都女子大が全国の自治体を対象に行っている調査によると、令和5年の女性議員の割合は16・9%。都道府県別に見ると、東京都(33・3%)や大阪府(24・3%)と比較して、地方では10%前後の自治体が多く、その差は大きい。また、女性議員がいない自治体の割合も同年時点で12・9%残っている。

岩本氏は「選挙活動は、候補者個人への負担が大きく家事、育児などの負担がある女性は立候補しづらいといった要因があるが、女性議員がいなければ、出産費用助成などの女性目線の政策が実現されにくい」と話す。保育士や看護師などの職業では女性職員の割合が高く、「(女性議員の減少は)エッセンシャルワーカーの要望に沿った政策も進みづらくなる」と危機感を示す。

海外では男女の割合を一定にする「クオータ制」を導入する国もある。日本では、議員の身分を性別などで差別することを禁じる憲法44条があるため、選挙制度自体には導入されていない。岩本教授は「国で定めなくとも、ドイツや北欧など、自主的に独自の男女比率を取り入れている政党は国際的に多い」と説明。「せめて国会の3分の1程度を女性が占めなければ、政策の実現は難しい。政治家が働きやすい環境を整えて、さまざまな主張をもつ多様な女性議員が登場してほしい」と話した。

筆者:堀口明里(産経新聞)

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