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ガソリン税の暫定税率が半世紀ぶりに廃止されることが決まった。与野党6党が、12月31日に廃止することで正式合意した。今臨時国会で関連法案の成立を目指す。
gasoline tax reduction agreement

協議を終え、合意文書を手に写真撮影に応じる与野党6党の税制実務者=11月5日午前、国会

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ガソリン税の暫定税率が半世紀ぶりに廃止されることが決まった。自民、立憲民主など与野党6党が11月5日、12月31日に廃止することで正式合意した。今臨時国会で関連法案の成立を目指す。

軽油引取税の暫定税率についても来年4月1日に廃止する。

1リットル当たり53・8円のガソリン税は本則税率分28・7円と暫定税率分25・1円からなる。廃止に伴う急激な価格変動を抑え、買い控えなど販売現場の混乱を避けるため、移行措置として補助金を使い段階的に価格を引き下げる。軽油についても同様の措置をとる。

東京都内のガソリンスタンドでの給油作業

高市早苗政権として、最初の物価高対策となる。暫定税率の廃止で世帯当たりの負担が年1・3万円程度抑えられるとも試算されている。車の利用が多い地方を中心に、家計負担の軽減に一定の効果はあるだろう。

問題は減税に伴う代替財源の手当てを先送りしたことだ。

暫定税率廃止に伴い国・地方合わせ年約1・5兆円の税収減となる。特定の条件を満たした企業の税負担を減らす法人税の租税特別措置を縮小して財源に充てる方向で年末までに結論を出す。さらに1年程度をめどに安定財源を確保するための方策を決めるとした。

5日の衆院代表質問でも、国民民主党の玉木雄一郎代表から安定財源を問われたが、高市首相は明確な説明を避けた。

少数与党である以上、早期の減税実施を求める野党側に一定の譲歩をする必要があるのはやむを得まい。だが、財源の先送りは「責任ある積極財政」を掲げる高市政権の方針と矛盾しないか。

安定財源の確保については野党にも大きな責任がある。与野党とも議論を尽くし、早期に税収減を補う方策に結論を出さなければならない。

ガソリン税の暫定税率は、もともとは道路特定財源だったが、平成21年に一般財源化した。翌22年には暫定税率の廃止が決まったが、「当分の間」として維持されてきた。

暫定税率の廃止は決まったが、自動車関係諸税は創設時から抜本的な見直しが行われておらず、複雑になっている。暫定税率の廃止を機に、電気自動車(EV)の普及も見据え、あるべき税体系に向け議論を加速することも求めたい。

2025年11月6日付産経新聞【主張】を転載しています

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