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韓国メディアウォッチ前編集長で、粘り強い調査報道で知られた黄意元氏が死去した。
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黄意元氏

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韓国メディアウォッチ前編集長で、粘り強い調査報道で知られた黄意元(ファン・ウィウォン)氏が11月14日、自ら命を絶ち、48歳で死去した。

黄氏は卓越した筆力と編集能力だけでなく、知性と探究心に満ちた不屈のジャーナリストととして知られた。真実を追求する姿勢は揺るがず、何よりも仲間を大切にし、誠実に職務を全うする姿勢で多くの人々に尊敬されてきた。

特に、2016年に放送局JTBCが報じた「崔順実タブレットPC」問題の真偽を巡り、記者の邊熙宰氏とともに約9年間にわたり法廷闘争を繰り広げたことで、黄氏の名は広く知れわたった。

報道当時、タブレットは朴槿恵大統領の知人である崔順実氏による国政介入の「決定的証拠」として扱われ、韓国社会に大きな衝撃と混乱をもたらした。これを契機に朴大統領への捜査は急速に進み、最終的には罷免と刑事処罰に至った。

しかし黄氏らは、精緻な調査の末、タブレットが崔順実氏の所有物ではなく、JTBCの報道自体に疑義があると主張した。その結果、JTBC側は黄氏と邊氏、さらにはメディアウォッチの記者らを名誉毀損の疑いで告訴した。

社会的混乱の背景を解明すべく、ジャーナリストとしての信念を貫いたが、一審では懲役1年という到底納得しがたい判決を下された。

集会で演説する黄意元氏

黄氏が残し遺書には、過去7年以上にわたる一審・二審の裁判で、タブレット端末に対する基本的な鑑定すら行われず、著しく不公正な審理が続いたことが記されている。なにより、自らの死を屈服ではなく、「抵抗の自決」と明確にした。

なお、20日には控訴審の判決を控えていた。

「タブレット問題」のほかにも、黄氏は日韓歴史認識問題にも深い洞察を示し、韓国人記者として初めて慰安婦問題の矛盾を指摘したほか、歴史家・秦郁彦氏の著作、ハーバード大学・J・マーク・ラムザイヤー教授の論文などを翻訳・出版し、社会的議論に大きな波紋を広げた。

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黄意元氏(右)と西岡力・麗澤大学特任教授(©MediaWatch)

また、国際情勢にも鋭い分析力をもっていた。地政学的観点からは、韓国が米中覇権対立に過度に巻き込まれることなく、日本・台湾・豪州など民主主義勢力との連携を強化すべきだと訴えてきた。

黄氏の指揮下で、台湾の呂秀蓮元副総統やジャーナリストのジョナサン・マントソープ氏、アンマリー・ブレイディ教授らの著書や研究が次々と翻訳・刊行された。将来的には、保守系シンクタンクの設立も志していた。

黄氏は誰よりも勇気と信念、そして真実への揺るぎない献身を貫いた人物であった。業績はもちろん、誠実さと正義を貫いた姿勢で、人々の記憶に長く残るであろう。

著者:吉田賢司(JAPAN Forward記者)、ジェイソン・モーガン(麗澤大学国際学部准教授)

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