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国連PKOの要員が削減される見通しとなった。トランプ米政権が国連への資金拠出を削減しており、紛争地での治安維持に甚大な影響が出かねない。米国は削減方針を見直すべきだ。
Under Secretary-General of UN

アトゥール・カレ国連事務次長

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国連がアフリカや中東などで展開する9つの平和維持活動(PKO)の要員約1万3千~1万4千人が削減される見通しとなった。全体の約4分の1に相当する規模だ。

多国間協力に後ろ向きなトランプ米政権が国連への資金拠出を削減しているためで、このままでは紛争地での治安維持に甚大な影響が出かねない。米国は削減方針を見直すべきだ。

国連PKOの年間予算は、約54億ドル(約8400億円)だ。米国は加盟国中トップの負担(約26%)を義務付けられているものの、一部活動への資金拠出を除き未払いが続く。分担率2位の中国(約24%)に次ぐ3位の日本(約7%)や欧州諸国はトランプ政権に対し、粘り強く拠出を促す必要がある。

国連PKOは1948年に活動を開始し、世界各地で70を超える任務を遂行してきた。一方、現場の任務は危険と隣り合わせで、2024年1月~25年7月下旬のPKO要員の死者は78人に上った。

紛争地で治安の空白地帯が生まれれば、ならず者がそこを埋めかねない。早期の人員補充が見込めない中で、求められるのはPKOの質の向上だ。

その手段として期待されるのが、PKO要員に各国が訓練を施す「三角パートナーシップ・プログラム」(TPP)である。PKO要員を各地に派遣する国▽要員に訓練を施す国▽国連―が協力し合う枠組みで、14年に安倍晋三首相(当時)が提唱し、日本の陸上自衛隊が教官を務める形で始まった。

カンボジアで地雷処理に取り組む高山良二さん(右端)=本人提供

今では国連で最大のPKO能力構築事業へと成長し、重機の操縦や爆発装置への対処、医療といった分野で、100カ国以上の3万人超が42カ国から訓練を受けている。

国連のカレ事務次長は「紛争の要因は気候変動や国際犯罪、ドローン(無人機)・AI(人工知能)の悪用など、複雑かつ多様化することが予想される」と指摘する。複雑化する紛争要因に対処するためにも、TPPの事業内容を充実させることが不可欠だ。

今秋、南米パラグアイで開催された「中南米・カリブ諸国閣僚級国連PKO会合」でも、TPPの重要性が改めて確認された。高市早苗政権はTPPを積極支援し、各国の模範となってもらいたい。

2025年11月19日付産経新聞【主張】を転載しています

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