我が家のネコを威嚇する庭のカマキリ(大山文兄撮影)
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佐渡の山々でも初冠雪が観測され、山もうっすら雪化粧した。本格的な冬の訪れが近づいている。気付くと、自宅の壁にカマキリの卵鞘(らんしょう)がある。カマキリが高い所に卵を産み付けると大雪になると言われている。そこで、今回はマクロレンズを片手に、我が家の庭に生息するカマキリを撮影した。
カマキリの卵発見
我が家の庭や畑は、トキの天敵でもあるテンやタヌキ、キジなどの小動物がすみついている。これまではそうした小動物にカメラを向けてきたが卵の発見をきっかけに佐渡で初めて、小さな昆虫にフォーカスしたくなり、カマキリを探してみた。

栽培している真っ赤に紅葉したブルーベリーの木にいる。マクロレンズで覗き込むと、餌の昆虫を捕まえるためのカマのような脚や、細長い触角の様子もくっきり。邪魔するな、というようにギロリと睨みつけるなど、なかなかの迫力だ。


珍しい茶色のカマキリも
庭の縁台では茶色いカマキリもいた。
調べてみると、このカマキリはハラビロカマキリという種類。名前どおり、腹部(ハラ)が広い(ビロ)。体長5~6cm。きれいな緑色は馴染み深いが、茶色を見るのは初めてだ。保護色で体の色が変化したのかと思ったが、カマキリの色は遺伝で決まり、茶色のカマキリは「褐色型」といい、非常に稀だという。

我が家にはもらい受けた保護猫3匹が、毎日窓の側で日向ぼっこしている。窓をよじ登ってきたこのカマキリには興味深々。ゆっくりとした動きのため追いかけはしないが、双方にらみあっているように見える。
今年は大雪か
雪国に暮らしていると、大雪が降るかどうかは大きな関心ごとの一つだ。カマキリが高い場所に卵を産んだらその年は大雪になると言われている。
自宅のカマキリの卵鞘は、高さ約2mという高い所で幾つも発見した。言い伝え通りならば、今年は大雪のはずだが、農家の知人によると、カマキリの卵は大雪の年でも低い場所にあるし、雪が少ない年でも高い場所に産み付けられたという。そもそも常に高い場所に卵を産みつければ、降雪量に左右されない。実際は、カマキリの卵は鞘に包まれており、雪に埋もれても孵化には影響はなく、高さは大雪とは関係ないらしい。

生物の大雪予想でいえば、「カメムシが秋に大量発生すると大雪になる」という説もある。カマキリと同様、科学的な裏付けはないが、2022年と2024年に我が家でカメムシが大量発生し、その年の冬はいずれも大雪だった。
さて、今年の秋はというと、カメムシをあまり見かけなかった。

果たして今冬の雪はどうなるのか。そう思うと、生活するうえではやっかいな雪も楽しみになってきた。
筆者:大山文兄(フォトジャーナリスト)
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大山文兄(おおやま・ふみえ)産経新聞社写真報道局で新聞協会賞を2回受賞。新聞社時代に11年間にわたり、トキの野生復帰を取材。2020年に退社して佐渡島に移住、農業に従事しながら、トキをはじめとする動物の写真を撮り続けている。映像記者として佐渡の魅力を発信中。インスタグラムでフォローしてください。
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