ハーバード大のキャンパス内を行き交う人々=米マサチューセッツ州(AP=共同)
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米国の大学で日本外交や日米関係の教員が急速に減っており、対策が急務だ-。米インディアナ大のアダム・リッフ教授は最近公表した報告書で、そう警鐘を鳴らした。近年、米国で対日関係を扱う「ジャパン・ハンド」の大御所が相次ぎ鬼籍に入った。報告書は新たに大学教員となる若手が途絶えていると指摘。知日派が今後さらに細る懸念があるという。
2025年は4月以降にリチャード・アーミテージ元米国務副長官、国防次官補を務めた米ハーバード大のジョセフ・ナイ名誉教授が相次いで死去した。日米同盟の強化に尽力してきた大物論客が去り、以前から指摘されてきた知日派の退潮を改めて際立たせた。
高年齢化も進展
展望は明るくない。リッフ氏が11月上旬に米日財団から発表した報告書によると、米主要大で2010年前後以降、日本外交分野などで研究職の新規採用が、ほぼなくなった。
調査は定評のある米誌が公表する「全米トップ100大学」で、テニュア(終身在職権)対象となり得るアシスタント・プロフェッサー(助教)の採用状況を調べた。

過去30年を3期に分けると、日本外交や日米関係を専門とする教員は、1994~2004年に少なくとも12人が採用されたが、05~14年には5人に減少。15~24年はゼロだった。09年以降の採用は1人のみという。
また、日本外交などの教員を継続して採用する大学は1990年代後半に約8校あったが、2024年時点はゼロ。1994~2014年に採用された計17人のうち、8人が米国での教職を離れたが、大学は後任者を置かなかった。
筆者:塩原永久(産経新聞ワシントン支局)
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2025年11月22日付産経新聞【アメリカを読む】より
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