本格的な埋め立て作業が始める辺野古沖の大浦湾=沖縄県名護市(大竹直樹撮影)
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米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事で、防衛省が辺野古東側の埋め立てを本格化した。
辺野古への移設は、市街地に隣接する普天間飛行場の危険性を除去するためのものだ。移設後に同飛行場を全面返還することで日米両政府は合意している。政府は着実に工事を進め、返還を実現してもらいたい。そのために県も全面的に協力すべきである。
防衛省は11月28日、辺野古東側の大浦湾への土砂投入に着手した。大浦湾では昨年から護岸工事などが行われていたが、本格的な埋め立て作業は初めてとなる。早ければ令和15年4月に予定される工事完了に向け、大きな前進といえよう。

埋め立ては平成29年に始まった。全体の4分の1にあたる南側はほぼ終了しているが、東側では軟弱地盤が見つかり、作業が大幅に遅れていた。
理解しがたいのは、玉城デニー沖縄県知事に、協力する姿勢がいまだに見られないことだ。玉城氏は11月30日、来県した木原稔官房長官に移設計画の断念を求める要望書を手渡した。
だが、沖縄における米軍の抑止力を維持しつつ、県民の負担を軽減するための唯一の解決策が普天間飛行場の移設であると、日米両政府は何度も確認してきた。木原氏が玉城氏に移設への理解を求め、「一日も早い普天間の全面返還に向けて全力で取り組む」と強調したのは当然だろう。
沖縄本島南東の公海上空では12月6日、中国軍機が自衛隊機に2回にわたりレーダー照射を行った。

中国による危険な挑発行動はエスカレートしている。県民を含む国民を守るには、日米同盟の抑止力を維持するだけではなく向上させることが不可欠だ。国と県が協力すれば、普天間返還が近づくことも忘れてはならない。
埋め立て用の土砂を搬出する名護市の桟橋前では、ダンプカーの前を反対派がゆっくり歩く危険な妨害活動が続いている。昨年6月には路上に出た反対派を制止しようとした警備員がダンプカーに巻き込まれ、死亡する痛ましい事故も起きた。
防衛省は現場にガードレールを設置するよう県に求めているが、県は応じていない。路上の安全確保にすら協力しない玉城氏の姿勢は度を越している。
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2025年12月12日付産経新聞【主張】を転載しています
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