日本で生み出され、光を自在に操ることができる「フォトニック結晶」を用い、宇宙空間での光通信を目指す研究が進んでいる。光通信は、電波での通信よりも大容量データの送受信に適しており、今後さらに距離を延ばすことで、有人月探査での活用も期待される。
京都大で開発されたフォトニック結晶レーザー。中央にある円形の部分から直径3ミリのレーザー光が発射される(野田進教授提供)
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日本で生み出され、光を自在に操ることができる「フォトニック結晶」を用い、宇宙空間での光通信を目指す研究が進んでいる。京都大の野田進特別教授(光量子電子工学)やKDDI総合研究所などの研究チームは、このほど約6万キロの距離に相当する光通信の地上実証に成功し、英科学誌「ネイチャーフォトニクス」で報告した。光通信は、電波での通信よりも大容量データの送受信に適しており、今後さらに距離を延ばすことで、地球から約38万キロ先で行われる有人月探査での活用も期待される。
拡大する宇宙利用
通信に用いられる光と電波はいずれも電磁波の一種で、光の方が周波数が高い(波長が短い)。そして周波数が高いほど、より多くのデータを送ることができる。例えば、太平洋を挟んだ日米間での通信は大半が海底ケーブルで行われるが、これは何本もの光ファイバーを束ねたものだ。
筆者:小野晋史(産経新聞)
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20205年12月14日産経ニュース【クローズアップ科学】より
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