首都直下地震対策を協議する政府中央防災会議作業部会が、マグニチュード7級の地震での新たな被害想定を正式に公表した。停電の影響が拡大し、通信断絶でキャッシュレス決済が停止するなど社会変化に伴う新たな課題も指摘した。
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東京タワーと高層ビル群=2024年3月(本社ヘリから、松本健吾撮影)

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政府中央防災会議の作業部会が示した首都直下地震の新たな被害想定では、この10年の社会の変化に重点の一つが置かれた。首都圏は世帯数が増え、高齢者や外国人の増加で住民が多様化。携帯端末への依存は通信途絶や虚偽情報拡散のリスクを拡大する。報告書はハード対策の限界とともに、災害を「自分ごと」としてとらえるよう強調した。

「なにしろ人口が集中している。マグニチュード7はどこでも起こるが、被害が大きいのは人がたくさんいるからだ」

首都直下地震が「国難級の災害」とされる理由について、作業部会主査代理を務めた政策研究大学院大学の家田仁特別教授は19日の記者会見で、こう解説した。

この10年で対策は進んだ。住宅耐震化率は79%(平成20年推計)から90%(令和5年推計)に達した。平成23年度に約2500ヘクタールあった「著しく危険な密集市街地」は約82%解消。倒壊、焼失を合わせた建物被害は約4割減った。一方、人口増や新型コロナウイルス禍を経た在宅率の上昇で死者数は約2割減にとどまった。

避難者数は建物被害の減少で約4割減らせたが、それでも「480万人」という数字は、昨年の能登半島地震での「5万人以上」や、平成28年熊本地震の「18万4千人」と比べて際立つ。

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筆者:市岡 豊大(産経新聞)

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