南鳥島周辺に向けて出航する地球深部探査船「ちきゅう」
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小笠原諸島・南鳥島沖の深海底でのレアアース(希土類)泥の採掘試験が始動した。
世界最高水準の能力を持つ海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」が1月12日、太平洋の埋蔵海域に向けて出港した。
政府が日本の排他的経済水域内に眠る戦略資源の活用可能性の確認に乗り出した重要な第一歩である。
レアアースは電気自動車のモーター、半導体などをはじめ、防衛装備にまで不可欠な基幹素材だ。脱炭素と人工知能(AI)時代の産業構造を支える土台であり、安定入手の確立は経済と安全保障の要である。
だが現実には、その供給の多くを中国に依存しており、輸出規制や政治的判断によって入手難となる可能性もある。
南鳥島沖のレアアース泥の採掘では、海底表層の泥を吸引・回収する方法を用いる。深海生態系への影響を局所化するために、釣り鐘型の装置と長大なパイプからなる閉鎖型循環方式と呼ばれる技術で、採掘に伴う濁りの拡散を防止する。

今回の試掘の意味は、資源量の確認にとどまらない。水深6千メートル級の極深海で安定的に揚泥し、船上で処理・分析する一連の技術体系を確立できるかどうかが問われている。
「ちきゅう」が担うのは単なる調査ではなく、日本の海洋技術の総力を試す挑戦だ。成功すれば資源安全保障と海洋技術の両面で大きな成果となろう。
日本にとってレアアースの自前調達は、対外的なリスク回避の手段となる。中国は関税への報復手段として対米輸出を昨年4月に規制した。対日本では尖閣諸島問題で輸出を止めた過去の例がある。

数年後に南鳥島沖の開発が本格化すれば、外交的な牽制(けんせい)や、環境保護を名目とした国際世論形成など、間接的な干渉行為の生起も懸念されよう。
政府は国際法上の正当性を明確にし、科学的データに基づく説明と情報発信を強化するとともに、海洋監視体制の充実を図るべきだ。
このまま鉱物資源を持たない国であり続けるのか、それとも自らの海域に眠る貴重な資源を活用する国となるのか。
世界初となる今回の深海底からの試掘を成功させ、日本の将来世代に持続可能な資源基盤を引き継ぐ大志を持ちたい。
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2026年1月26日付産経新聞【主張】を転載しています
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