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2月8日投開票の衆院選の主な争点にすべきは「中国の脅威」への対応である。深刻化する一方の不況の中、習近平共産党総書記(国家主席)は経済から軍事に至る対外攻勢を一層強める。人民解放軍制服組トップの粛清による軍直轄支配は習氏の焦りの表れだ。
中国国家統計局の発表による2025年の国内総生産(GDP)の名目成長率は4%、実質5%で、習政権が掲げる実質5%の目標値を達成している。実質5%といえば、ゼロ・コンマ%台の日本はもちろん、2%台で活況を呈している米国をはるかにしのぐ。
だが、主要GDP構成項目の源となる原データを中国国家統計局の膨大な統計の中から拾い出してみると、本当の成長率は当局発表をはるかに下回る様相が浮かび上がる。
日米しのぐ名目成長率もデフレ進行
グラフはGDPの3大項目である固定資産投資、純輸出(モノとサービスの貿易収支)、家計消費の成長寄与度の筆者試算に基づく。それら試算値を足し合わせると25年は名目1・1%となり、統計局発表の同4%を大きく下回る。この乖離(かいり)は22、23年にも目立つが、25年ほどひどくない。
中国GDP統計のやり方は生産サイド、すなわち1次、2次、3次の産業別の粗付加価値(事業者の粗利益)を行政区ごとにまとめ、国家統計局が集計する。各地区トップの党書記は前年末に党中央政治局が決めた翌年の成長率目標達成をめざす。
日米欧などのGDP統計は消費、投資、純輸出などの需要サイドでまとめるが、中国の場合、需要項目別GDPデータ公表は6月中旬と大きく遅れ、1月発表値と齟齬(そご)のないように修正される。こうした成長率の粉飾疑惑を24年12月に米国でばらした中国の著名エコノミストは反スパイ法違反の嫌疑をかけられた末に金融業界から追放された。
筆者:田村秀男(産経新聞)
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2026年1月31日付産経新聞【田村秀男の経済正解】より
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