米価高騰は農業のありようを見つめ直す契機となった。生産者と消費者の双方が納得できる価格でコメを安定供給できるか。そのための方策は各党が競うべき重要な論点だ。
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5キロあたり4000円を超えたコメが店頭に並んでいる=東京都練馬区(長谷川毬子撮影)

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今なお家計の重荷である米価高騰は、多くの国民が農業のありようを見つめ直す契機となった。生産者と消費者の双方が納得できる価格でコメを安定供給できるか。そのための方策は各党が競うべき重要な論点である。

自民党が「輸出を進めて、農林水産業の生産を伸ばす」と訴え、中道改革連合が直接支払制度「食農支払」創設を主張するなど与野党は衆院選の公約で農業に言及している。

ただ、それが主たる論戦テーマになっていないのは物足りない。各党間で、もっと活発に論争を尽くしてもらいたい。

コメの販売価格は5キロ4000円台の高値が続く。一方で令和7年産米の生産量は多く、今後の価格下落も予想される。過度な下落は生産者を苦しめ、高値のままでは消費者のコメ離れにつながる。

田んぼでの収穫作業=2024年9月、千葉県多古町(酒井真大撮影)

解決するには農業の生産性を高め、高値でなくても収益を確保できるようにするほかない。担い手減少が懸念される中ではなおさら農業の持続可能性を高める改革が急務だ。食料安全保障にも大きく関わる。

昨年は、農政に混乱がみられた。鈴木憲和農林水産相は石破茂前政権の増産路線から「需要に応じた生産」に転じた。農水省は食糧法での明記も検討しているが、この文言は、米価維持のため作付面積を減らした減反時代の常套(じょうとう)句でもある。

自民は総合政策集に「需要に応じた生産・販売を、精度を高めた調査に基づいて進める」と記した。減反回帰を意味しないならば、納得のいく説明が求められる。日本維新の会はコメの生産量拡大のため「国内需要と輸出需要に対応した生産体制」を構築するとしている。

2025年産米が5キロ4千~5千円台で売られたスーパー「フレッシュマーケットアオイ昭和町店」=2025年11月、大阪市阿倍野区

野党では中道の食農支払や国民民主党の「食料安全保障基礎支払」などが目を引く。旧民主党政権時の戸別所得補償制度は一律給付だったことがばらまきと批判された。その教訓を十分に生かしたのかについて制度の詳細を明確に語ってほしい。

このほか共産党がコメ・水田関連予算の1兆円増額、れいわ新選組が農林関係予算の倍増を掲げ、参政党が食料自給率100%への増産計画を訴えるなど各党は農業強化策を競う。

与野党とも農業票獲得に目が向きがちだが、コメを含む食料の安定供給では消費者の視線も重要だ。強い農業を実現できるかは国民全てに影響する。

2026年2月4日付産経新聞【主張】を転載しています

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