ミュンヘン安全保障会議に出席し、対日批判する中国の王毅外相=2月13日、ドイツ・ミュンヘン(ロイター)
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チベットにこんな諺がある。「悪意ある行いは、己の身を滅ぼすのみ」。今日の中国の対日行動を見るとき、この言葉が自然と脳裏に浮かんでくる。
中国の対日アプローチは、ここ数ヶ月で重大な転換点を迎えている。かつて「管理された競争関係」として機能していた両国関係は、今や持続的な圧力行使という硬直した姿勢へと変質し、中国は自らをますます自縄自縛の戦略に追い込んでいる。中国の強硬政策は、地域の行動様式を自国に有利な方向へ変えるどころか、安全保障上の連携を加速させ、東アジアおよび東南アジア全域における中国への否定的な見方を深める結果をもたらしている。その影響はすでに顕在化しており、長期的な含意が北京にとって有利に働く可能性は乏しい。
この一年、中国は日本との関係において、もはや自制が選択肢に含まれないことを明確に示してきた。中国海警局の船舶は尖閣諸島周辺の接続水域に事実上毎日進入し、日本の領海への侵入が月を追って繰り返し記録されている。2025年には、日本が同諸島付近における中国の海洋プレゼンスを356日以上にわたって記録するに至った。これは二国間関係の歴史において前例のない持続的関与の水準である。

政治面においても中国の姿勢は硬化している。緊張が高まる局面で危機管理メカニズムの活用を拒否し、日本の防衛改革を冷静な安全保障上の対応としてではなく「軍国主義の証拠」として公然と位置づけてきた。経済面でも、輸出規制の示唆から中国国内で操業する日系企業への非公式な圧力まで、各種の手段が選択的に行使されている。これら一連の行動は、散発的な抑止ではなく、強制の常態化という意図的な戦略を指し示している。
1990年代から2000年代初頭にかけての日中関係は、不安定ながらも一定の均衡の上に成り立っていた。戦略的不信は存在しつつも経済的相互依存は急速に拡大し、二国間貿易は1995年の約600億ドルから2021年には3700億ドルを超えるまでに成長した。政治的危機は頻発したものの、いずれも封じ込めに成功し、双方が相手国を不可避的な安全保障上の敵対者と見なすには至らなかった。
しかし中国の強圧的行動は二国間関係を事実上崩壊させた。その根底には、日本がアジア地域において果たす役割についての戦略的誤読がある。中国は日本を、独自の戦略的思考を持つ自律的な地域大国としてではなく、米国の封じ込め戦略の延長線上にある存在として捉えるようになっている。

東南アジア諸国を例に取れば明らかだが、日本は主として安全保障上のパートナーではなく、同地域最大級のインフラ融資、開発援助、技術移転の供給源である。2010年から2022年にかけて、日本はアジア全域で2600億ドルを超えるインフラ資金を供与してきた。こうした存在感は、中国の強硬な行動を注視する国々にとって、疑いなく政治的な重みを持つ。
また日本企業は東南アジア、とりわけベトナム、タイ、インドネシアへの投資を増大させており、2015年から2022年にかけてASEANにおける対外直接投資残高は40パーセント以上拡大した。一方で対中新規投資は頭打ち状態となっている。これは完全なデカップリングとは言えないが、着実な希薄化である。生産ネットワークが多様化するにつれ、中国が地域の経済的流れに対して保持してきた影響力は低下していく。この変化はASEAN諸国の産業基盤を強化する一方で、地域のサプライチェーンにおける中国の中心的地位を着実に弱体化させている。経済的相互依存は希薄化し、より条件付きで政治的に敏感なものへと変質しつつある。
対日圧力はもはや二国間問題にとどまらない。中国が日本への強圧的行動を激化させた時、それはASEAN諸国の首都に対し、中国との紛争は外交のみでは収拾し難く、北京は服従を求めるためなら二国間関係を犠牲にも厭わないというシグナルを送るものであった。

中国の圧力は、中国自身が予測していなかった形で日本国内の安全保障論議をも再形成した。長らくGDP比1パーセント程度に抑制されてきた日本の防衛費は、本年度末までに2パーセントへ引き上げられる見込みである。絶対額で見れば、2021年の約500億ドルから年間およそ800億ドルへの増加を意味する。日本は反撃能力の取得、米国との統合的作戦計画の拡充、そして従来の軍事的姿勢を制約してきた憲法解釈の再定義を進めている。これらはいずれも地域の脅威環境の変化に対する応答であり、中国の行動こそが日本の変容に戦略的根拠と政治的正当性の双方を与えてきたのである。
三カ国間の安全保障協力においても変化は著しい。日米韓の連携は、歴史問題をめぐる長年の摩擦を経て深化している。日本はオーストラリア、英国、フィリピンと相互アクセス協定を締結し、ベトナムやインドネシアとの安全保障上の関与も強化した。これらは象徴的なジェスチャーではなく、地域全体でのリスク再評価を反映したものである。
中国はこれらの連携を外部から仕組まれた封じ込め工作として解釈しがちだが、そのような説明は核心的な現実から目を背けるものだ。地域諸国が姿勢を調整しているのは、中国の行動によって戦略的曖昧性が失われ、中国の強硬姿勢に対するヘッジとして選択肢の多様化を図っているからにほかならない。

この転換における言説の次元もまた重要である。中国は平和的発展と地域の安定の推進者として自らを位置づけ続けているが、対日政策はそのメッセージを自ら掘り崩している。東南アジア全域における世論調査では、日本に対する信頼度は中国を一貫して上回っており、ある最近の調査では、東南アジアの回答者の60パーセント以上が日本を信頼できるパートナーと見なした一方、中国への信頼は40パーセントに満たなかった。
自制、制度的関与、二国間関係における予測可能性を特徴とする日本の行動は、強圧的なシグナルを発し続ける中国と鮮明な対照をなしている。この対比は、中国を修正主義的・不安定化勢力として、東京を守勢的に適応する現状維持勢力として描く、地域的な言説を強固にするものである。
構造的な次元から見れば、中国の対日政策はより根深い概念的誤謬を体現している。アジアにおける地域秩序は、力による支配のみによって生み出されるものではない。歴史的にそれは、正統性、安心供与、そして複数の勢力中枢との共存能力の上に成り立ってきた。日本を地域的な競争相手として共存しうる存在ではなく、敵対的プレイヤーとして扱うことで、中国は自らの戦略的選択肢を狭め続けている。
中国の対日政策はしたがって、単なる戦術的な判断ミスではない。それはアジアにおける影響力がいかに生み出され、維持されるかという根本的な問いに対する誤解に根ざした、戦略的失策である。軌道修正には、譲歩も撤退も必要ではない。必要なのは自制、予測可能性、そして競争的共存への回帰である。冒頭に引いたチベットの諺が示すとおり、悪意に基づく行いが最終的に傷つけるのは、他者ではなく自らなのである。
筆者:ペマ・ギャルポ(政治学者)
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