高市早苗首相が施政方針演説を行った。「日本列島を、強く豊かに」と訴えた公約と、日本維新の会との連立合意の実行が望まれる。
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衆院本会議で施政方針演説を行う高市早苗首相=2月20日午後、衆院本会議場(春名中撮影)

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第2次内閣を発足させた高市早苗首相が特別国会で、施政方針演説を行った。

首相は、衆院選での自民党圧勝を念頭に、「大きなご期待に応えるため、総選挙で掲げた『政権公約』および日本維新の会との『連立政権合意書』の内容を一つ一つ実現していく」と誓った。

「日本列島を、強く豊かに。」と訴えた公約と連立合意の実行が望まれる。首相は指導力を発揮し、諸政策を力強く推進してもらいたい。首相が「さまざまなお声に耳を傾け、謙虚に、しかし大胆に政権運営に当たる」と述べたのは妥当だ。

予算案の成立急ぎたい

首相は令和8年度予算案や関連法案の早期成立への協力を呼び掛けた。予算委員会の週末開催や与党議員の質問の一部短縮もためらうべきではない。国民生活を守るため早期成立へ野党側も柔軟に対応してほしい。

特別国会で最優先すべきテーマの一つが安定的な皇位継承策の確立だ。首相は演説で「わが国の伝統や歴史の重みをかみしめながら、国会で皇室典範の改正に向け議論が深まることを期待している」と述べた。一度の例外もなく男系継承で貫かれてきた日本の皇位継承の最重要原則を守るべきだ。

沿道の人たちに手を振られる悠仁さま=2025年9月、東京都港区(鴨志田拓海撮影)

悠仁親王殿下の即位時に他の皇族が不在となる恐れがある。政府報告書が示した、養子縁組による旧宮家の男系男子の皇族復帰が欠かせない。政府報告書の線で与野党合意を急ぎ、皇室典範を改正してもらいたい。

首相は憲法改正の国会発議の早期実現に期待感を示した。自民は衆院では発議に必要な定数の3分の2を超える316議席を得た。衆院憲法審査会の会長職も野党から取り戻した。改憲原案の条文起草委員会を設け、第9条改正や緊急事態条項創設の条文化に着手するときだ。

問題は与党で過半数にも届かない参院だ。立憲民主党が憲法審査会長職を握っており、動きが鈍いままであることが懸念される。与党は参院でも条文起草委設置を働きかけてほしい。

国の平和と繁栄の基盤は安全保障だ。日本は中国、ロシア、北朝鮮という反日的で核武装した専制国家に囲まれている。台湾有事の懸念もある。

日米首脳会談=2025年10月(©首相官邸)
日伊首脳会談=1月16日
日韓首脳会談=1月13日、奈良県(代表撮影)

首相は「外交と防衛を車の両輪として、わが国の独立と平和を守り抜く」と語った。3月にも訪米し、トランプ米大統領との会談を通じて日米関係を一層強化するとしたのも重要だ。

北朝鮮による全ての拉致被害者の帰国を「私の任期中に実現したい」とも述べた。局面打開を期待したい。

防衛力を巡っては、主体的に抜本的強化を進めるとした。国家安保戦略など安保3文書を年内に前倒し改定する考えを改めて示した。無人機(ドローン)など新しい戦い方への対応、継戦能力強化は必要だ。

責任のある減税論議に

インテリジェンス機能強化も急務だ。首相は、政府の司令塔機能強化へ「国家情報会議」を設け、内閣情報調査室を「国家情報局」に格上げする方針を表明した。今国会で関連法案を成立させたい。

高市政権は今夏にも有識者会議で国家情報戦略の策定やスパイ防止関連法の制定、対外情報機関設置の議論を始める。戦後日本の欠陥だった情報力不足を改めるべきである。

高市早苗首相(左)、片山さつき財務相

首相が政策転換の本丸としたのが、責任ある積極財政だ。潜在成長率の低迷は投資不足が主因で、国内投資のてこ入れのため躊躇(ちゅうちょ)なく財政を投じるとした。これを通じ「強い経済」を目指す方向性はうなずける。

重視するのは経済安保や食料・エネルギー安保などに資する危機管理投資と先端分野の成長投資だ。規制緩和などでも民間の投資意欲を喚起したい。

首相は「財政規律にも十分配慮した財政政策こそが責任ある積極財政だ」とも訴えた。野放図な歳出になっては国民や市場の信認は得られまい。

2年間の飲食料品の消費税ゼロは「給付付き税額控除制度導入までの間の負担軽減策」だと強調した。物価高に苦しんでいるのは中低所得層だ。首相は演説で、この層の負担減に向け同制度を含む改革の検討を進めるとしたが、つなぎ措置の消費減税は高所得層にも大きな恩恵が及ぶ。減税財源も含めて多くの課題がある。首相には納得のいく説明を国民に示す「責任」があろう。国民のニーズと市場動向もにらみながら政策を打っていく必要がある。

2026年2月21日付産経新聞【主張】を転載しています

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