日仏文学の優れた翻訳に与えられる「小西財団日仏翻訳文学賞」が30回を迎え、パリで記念シンポジウムが行われた。欧米では近年、日本文学の翻訳版が数多く出版され、人気が高まっている。パリ・シテ大学の坂井セシル名誉教授に、近年の出版事情について聞いた。
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パリの書店にある日本小説コーナーでは東野圭吾さんや川口俊和さんの作品が並ぶ(三井美奈撮影)

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日仏文学の優れた翻訳に与えられる「小西財団日仏翻訳文学賞」が30回を迎え、2月7日にパリで記念シンポジウムが行われた。欧米では近年、日本文学の翻訳版が数多く出版され、人気が高まっている。フランスで同賞の審査委員長を務めるパリ・シテ大学の坂井セシル名誉教授に、近年の出版事情について聞いた。

--日本文学は欧州でどう受け止められている?

「日本の『癒やし系』文学がいま、非常に人気があります。読者の心を穏やかにしてくれる小説のことで、『FEEL GOOD』『ケア文学』と呼ばれています。米国にエージェントがおり、世界市場に向けた宣伝、販売戦略が確立したこともブームを広げた理由でしょう」

「人気の背景には、欧州に広がる危機感があります。新型コロナウイルス流行後、欧州に隣接するウクライナやパレスチナで紛争が続き、日本以上に強い不安が漂っています。特に若い世代は将来に希望が見いだせず、荒々しい現実から逃避したいという欲求が強い。ステレオタイプではありますが、日本は『優しい社会』と思われています。猫や食堂が出てくる穏やかな日本の小説に、読者は救いを見いだすのです」

--フランスでの出版事情は

「かつてフランスで出版される日本文学といえば、大江健三郎や谷崎潤一郎、三島由紀夫の作品でした。問題意識を突き付けるような小説です。それが21世紀に入って、大きく変わりました。漫画の流行に加え、村上春樹作品の登場がきっかけになりました」

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筆者:三井美奈(産経新聞パリ支局)

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