中国の習近平政権が日本への経済的威圧を一段と強めてきた。日本の20社・団体を輸出規制の対象リストに入れ、軍民両用品の輸出を禁じた。日本企業は、過剰な対中依存の低減に向けた検討を加速すべきときだ。
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レアアースなどが記載された中国語表記の元素周期表(共同)

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中国の習近平政権が日本への経済的威圧を一段と強めてきた。

三菱重工業子会社など日本の20社・団体を輸出規制の対象リストに入れ、軍民両用(デュアルユース)品の輸出を禁じたことだ。軍民両用品には、重要鉱物のレアアース(希土類)など幅広い品目がある。

この措置とは別に、SUBARU(スバル)やTDKなどの20社・団体を輸出規制の監視リストに加え、輸出審査を厳格化する措置も実施する。

中国政府は1月、軍民両用品の対日輸出規制を強めると発表した。今回はさらに、対象企業の名指しへと威圧の段階を進めた。許し難い振る舞いだ。

中国商務省は「日本の『再軍備』と核保有のたくらみを阻止する」との報道官談話を発表した。習政権は昨年来、台湾有事を巡る高市早苗首相の当然の発言に対し「軍国主義復活」などと言いがかりをつけてきた。

ミュンヘン安全保障会議に出席した中国の王毅外相=13日、ドイツ・ミュンヘン(ロイター)

明白な虚妄で日本を威圧するのは、かねて厳しい対中認識を示してきた高市首相を揺さぶる底意があるからだろう。威圧の強度を上げることで、高市政権に対する日本企業の不満を高める狙いもあるのではないか。日本政府が中国側に抗議し、撤回を求めたのは当然である。

禁輸の対象は防衛関連企業や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などだ。監視リストの企業も含め、まずは影響を見極めて必要な対策を講じるべきだ。

中国商務省は「中国と日本の通常の経済、貿易交流には影響せず、法律を順守する日本の組織は心配する必要がない」とも説明するが、これを真顔で信じる企業がどれほどあるのか。

レアアースを含んだ鉱石。中国の対日威圧が軍民両用品目の輸出規制にも拡大した(共同)

むしろ、はっきりしているのは日本企業の対中事業に共通するリスクの大きさだ。日中関係が悪化するたびに打撃を受けることがないよう、企業は貿易・投資先の多様化を図るなど、過剰な対中依存の低減に向けた検討を加速すべきときである。

中国は、日本を不当に貶(おとし)める言説を国際社会でも流布している。日本は中国の言い分にその都度反論するだけではなく、中国の執拗(しつよう)な行動がいかに異様で危ういものかを自ら世界に発信し、国際社会の共通認識とするよう積極的に動きたい。高市首相が果たすべき役割は大きい。トランプ米大統領との首脳会談は、対中認識をすり合わせるための重要な機会となろう。

2026年2月26日付産経新聞【主張】を転載しています

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