Fumio Kishida Japan Politics LDP 001

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12月8日に始まった国会の代表質問を聞いて、各党の人権意識の低さに驚いた。

 

北京五輪・パラリンピックに対して、政府が外交的ボイコットに踏み切るかどうか、国民民主党の玉木雄一郎代表以外は誰も質(ただ)さなかったからである。

 

国権の最高機関の姿がこれでは恥ずかしい。中国政府による新疆ウイグル自治区でのジェノサイド(民族大量虐殺)や香港での民主派弾圧などの人権侵害はどうでもよいのか。

 

虐げられた人々にもっと寄り添うべきである。各党は今後の国会論戦で、外交的ボイコットを政府に迫ってほしい。

 

茂木敏充・自民党幹事長

 

9日までに自民党の茂木敏充幹事長や立憲民主党の泉健太代表、公明党の石井啓一幹事長ら各党幹部クラスの9議員が登壇し、岸田文雄首相らに質問した。

 

玉木氏だけは、「中国の人権問題を黙認する誤ったメッセージを国際社会に発しないため」にも外交的ボイコットを検討するよう岸田首相に促した。

 

民主主義国の政党、政治家として当然の提起といえる。

 

岸田首相は、中国による深刻な人権侵害に声を上げていくとしたものの、外交的ボイコットについては「適切な時期に諸般の事情を総合的に勘案し、国益に照らして自ら判断したい」と述べるにとどまった。

 

米国、英国、オーストラリア、カナダによる外交的ボイコットの表明は世界的ニュースとなり、日本の対応も注目されている。

 

国会の代表質問は、さまざまな事柄を論じることができる。国民民主以外の各党に、外交的ボイコットの問題を取り上げる余裕がなかったとは思えない。

 

もし、中国政府の反発を恐れて質問しなかったのだとすれば日本の政党失格である。

 

岸田政権は外交的ボイコットについて煮え切らない。さらに国会論議も高まらないようでは、日本の国際的信頼は損なわれる。中国の隣国である日本があいまいな態度をとれば、中国政府に弾圧停止を求める外交的ボイコットの効果が減じてしまう。いくら日本が「自由で開かれたインド太平洋」を訴えても説得力に欠ける。

 

各党には、中国政府による深刻な人権侵害を批判する国会決議の採択や、人権侵害制裁法(日本版マグニツキー法)の制定にも積極的に取り組んでもらいたい。

 

 

2021年12月10日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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