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アジアで飲食事業を手掛けるFIHのCEOが、国境を超えたビジネスをどのように構築したかを綴った。
Food Innovators Holdings Limited 2

FIHからのリースで営業するレストラン「TRATTORIA 庭 BY FARM AKIRA」(FIH提供)

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私は、Food Innovators Holdings Limited(FIH)の代表取締役社長の久保田恭章と申します。当社の概要と事業についてご紹介できることを⼤変光栄に思います。FIHは2024年10月16日にシンガポール取引所(SGX)のカタリスト市場に上場しました。私たちはアジアの成長拠点としてシンガポールを選びました。この成功は、社員の努力、そしてパートナー、投資家、お客様を含むすべての関係者の支援のおかげです。

FIH代表取締役社長の久保田恭章氏(FIH提供)

当社グループの事業は大きく二つあります。一つ目は日本で展開しているサブリース事業。二つつ目は日本、シンガポール、マレーシアでの飲食店運営事業です。日本では東京を中心として約 230件の物件をサブリースとして管理しています。サブリースとは、大家から物件を借り、それを飲食店経営者に再度貸し出す仕組みです。私たちが大家さんから物件を借りることで、ベンチャー飲食店でも外国⼈の日本初進出でも優良な物件で開業することができます。これは、当社グループが15年かけて築いてきた信用の成果です。

さらに、飲食店出店に必要な手続きをワンストップでサポートできる体制を整えています。私たちは飲食店経営者を支援するため、三つの仕組みを提供しています。

  1. シンプル・サブリース ‒大家から借りた物件を転貸し、家賃差額を収益とするモデル。(信用・スピードの提供)
  2. ハイブリッド・ファイナンスモデル ‒ 内装工事など初期費用の一部を当社が負担し、 テナントは負担を軽くして開業し、賃料を通じて回収するモデル。(投資型ファイナンスの提供)
  3. コラボマネジメントモデル ‒ 当社も事業に出資し、費用と利益を分け合うモデル。(共同経営)

過去 15年間、日本では主にシンプル・サブリースとハイブリッド・ファイナンスモデルを展開してきました。 コラボマネジメントモデルは、 現在シンガポールやマレーシアでのレストラン運営におけるコラボレーションモデルとして発展しています。当社グループは、現在31店舗の飲食店を運営しており、日本で14店舗、シンガポールで9店舗、マレーシアで8店舗です。日本食や和の要素を取り入れた洋食を中心に展開しています。各国の市場ニーズに合わせた業態を調整しています。特にマレーシアは急成長しており、重要な成長ドライバーとなっています。

この二つの事業には強い相乗効果を生んでいます。サブリースを通じて物件や経営者の知見を得られ、飲食店運営を通じてブランドやノウハウを築くことができます。この二つのビジネスが一体となって、非常にユニークでリスク分散されているビジネスモデルとなっています。

私はこの業界に20年以上携わり、現在50歳です。私の原点は、1999年に入社した飲食店コンサルティングのベンチャー企業です。その会社は4年で日本国内において上場し、当時29歳だった私は昭和50年代生まれとして上場企業の取締役となり、「四季報」にも最年少取締役として⼀番乗りで名を連ねました。そして、その会社のキャピタルを元に2004年に飲食店経営・サブリースを主業とする「Foodys」を設立しました。

2008年末、 日本振興銀行と資本提携し、2010年には大規模な買収でグループレストラン数800 店舗以上に拡大しました。しかし、2011年に当該銀行が破綻してしまい、翌年Foodysも連鎖倒産してしまいました。2019年9月1日にはYahooニュースのトピックスに出てしまう惨事でありました。その後、整理の中で、現在のFIHの日本子会社であるFood Innovators Japan(FIJ)に債権者の許可をいただき、約140件のサブリース物件を売却引き継ぎし、サブリース事業を継続させました。事業を再建し、2019年シンガポール証券取引所に上場させるために、シンガポールにFood Innovators Holdings Pte. Ltd.を設立いたしました。しかし、その設立後間も無く、コロナが世界を襲いました。2020 年8月、コロナ禍の第2波が収束したタイミングで上場申請を行いました。これは、役員間でも「上場を延期すべきか、申請を続けるべきか」で意見が分かれましたが、私たちは株主の皆様の期待に応えるべくできる限りのパフォーマンスを発揮しようと申請する決断をしました。(今振り返ると無謀なことでありましたが)

その後、当社は2020年11月20日に公開会社となり、会社名をFood Innovators HoldingsLimitedに社名を変更しました。しかし、コロナは収束せず、2020年12月1日に申請を取り下げました。その後ようやくコロナが収束に向かい、2024年10月にやっと上場を果たしました。この夢を実現できたのは、仲間やお客様、投資家、社員、そしてシンガポールが私たちを信じて支えてくれたおかげです。

今後は、これこそFIHグループと言われる安定した利益を確保し、株主の皆様に良いリターンをお届けすることを目指します。次の目標はシンガポールSGXのメインボードへの上場です。店舗不動産を拡大しつつ、日本、シンガポール、マレーシアを中心に拡大し、飲食事業のプラットフォーマーとして、他のアジア諸国やアジア以外の国にも展開していきたいと考えています。

私たちのビジョンは、人々が美味しい食事を楽しめる場所をつくり、ワクワクする美味しさを生み出す、日本食文化と世界の食文化を融合させるイノベーターとなることです。そして私たちのミッションは、アジアと世界をつなぐ飲食業界のプラットフォームとなることです。

利益はもちろん大切ですが、私たちのもっと大きな夢は、 誰もが一緒に美味しい食を楽しめる未来をつくることです。

長崎県に設立した子ども食堂(FIH提供)

最後に、私の個人的な夢を少しお話しします。上場後、世界的なガーデンデザイナーのチャンピオンである株主の石原和幸さんとともに、日本の長崎で小さな子ども農園と子ども食堂を始めました。 子どもたちに、食べ物を育てたり料理をしたりする「生きる力」を学んでほしいと思っています。将来その中から飲食業界を目指す子が出てくれば、私にとってこれほど嬉しいことはありません。

長崎県の子ども農園(FIH提供)

今は小さな⼀歩ですが、将来的には畑だけでなく漁業も含め、世界へと広げていきたいと考えています。私たちには独自のビジネスモデル、 明確なビジョン、そして何より困難を乗り越えてきた長い経験と知識があります。これらの強みが、私たちを着実かつ持続的な成長へ導いていきます。

Food Innovators Holdings Limited
代表取締役社長 CEO 久保田恭章

FIHはJAPAN Forwardの特別会員です

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