日本の若者の声を世界に発信する「Ignite」。第6回は2024年の「北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクール」英語エッセイ中学生部門で最優秀賞を受賞した髙田昌和さんの「Abduction is a global issue」を紹介します。
IGNITE series 6 Takata

Masakazu Takata, a student at Winner of the 2024 North Korean Human Rights Violations Awareness Week English Essay Grand Prize for Junior High School Students

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日本の若者たちの「声」を世界に届けるJAPAN Forwardの企画「Ignite」の第6回。今回は2024年に開催された北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクールで英語エッセイ中学生部門の最優秀賞を受賞した、舞鶴市立加佐中学校3年(受賞当時)、髙田昌和さんの「Abduction is a global issue」を掲載します。

[受賞作品は上の (This post is available in English) のリンクをクリックしてください。]

拉致問題に関するシンポジウムで受賞作を朗読する髙田昌和さん=2024年12月14日(Screenshot)

[和訳]

拉致は世界の問題

拉致問題は「知っている」だけで済ませてはいけない。めぐみさんもそのご家族も拉致がなければ今もごく普通の円満な日常を過ごしていただろう。そんな日常が拉致によって遮られた。

私は8月、「拉致問題に関する中学生サミット」に参加した。そこでは拉致被害者の横田めぐみさんの弟、横田拓也さんの講義を聞くことができた。

拉致とは今から約50年前に北朝鮮が工作員の育成のため、日本の若者を連れ去った出来事だ。北朝鮮は事実を認めたものの、帰還者は17名のうち5名。半世紀経った今も、拉致問題は解決していない。

拉致問題の解決に私たちにできることはまず、アニメ「めぐみ」を観ることだ。拓也さんはサミットで「私事として考えること」を強調された。「自分の大切な家族・友人が突然連れ去られたらどうする。」という執着心をもって観ることが重要だ 。私はサミットの後、もう一度「めぐみ」を 観た。全く違うみえ方がした。私が最初に観たのは中学1年生の時だ。当時は傍観者のように眺めていたと思う。今は家族の辛さや苦しさが伝わってくる。拓也さんのいう「私事として」の意味が理解でき、自分の言葉で主張できるようになった。

世論調査の結果、拉致問題に対して関心のある人の割合は73.6%だという。時間とともに問題意識が薄らいでいる中、拉致問題を広める必要がある。インターネットやSNSは若者から高齢者まで幅広い年齢層で利用されている。情報通信技術を利用すれば、広く発信することだってできる。

拉致被害者のご家族は高齢化が進み、めぐみさんの父、滋さんは2020年に愛娘に会えぬまま亡くなられた。だから拉致問題は時間との勝負だ。

拉致される直前に新潟の海岸を訪れた横田めぐみさんら。1年後、この海岸近くから北朝鮮に拉致された=昭和51年8月、寄居浜海岸(横田滋さん提供)

ウクライナ侵攻やパレスチナの紛争など世界では今日も争いは絶えない。テレビをつけたら争いの報道が流れるのが日常だ。しかし、拉致問題のことも忘れてはいけない。拉致問題は戦争よりもずっと長い期間、沈黙の戦いが続いている。

拓也さんの講義からは拉致被害者の「早く日本に帰りたい」という思いが自分の心に強く響いた。拉致問題は決して昔の出来事ではなく、めぐみさんたちは「家族に会いたい」 という一心で今も助けを待っている。

だから拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて、世界が協力して声を上げることが救出の原動力になると思う。私はサミットに参加したものとして、拉致問題を発信していく使命があると思った。拉致問題の現状や、自分たちにできることを広く世界に発信する必要がある。一刻も早い拉致被害者の帰還に向けて、今後の活動に積極的に参加していきたい。

髙田昌和さんのコメント

夏に横田さんの講演を聞き、拉致問題を「自分事として考えなければならない」と思いました。一人の国民として、できることを行動に移していきたい。

■北朝鮮北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクール
政府拉致問題対策本部では全国の中高生を対象に、拉致問題関連の映像作品、舞台劇の視聴や拉致問題関連書籍の読書等を通じて拉致問題を知ってもらい、拉致被害者や拉致被害者御家族の心情を理解するとともに、拉致問題解決のために自分に何が出来るのか、何をすべきかについて深く考える機会とすることを目的として、北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクールを実施しています。詳しくはhttps://www.rachi.go.jp/jp/shisei/sakubun.htmlをご覧ください。

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