
笠佐島(山口県提供)
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トランプ米政権が、中国の企業や個人への農地売却を禁止する計画を発表した。米軍基地周辺の農地買収が表面化し、国家安全保障への脅威があると判断したためだ。今後法整備を行う。
日本でも自衛隊基地周辺の土地や建物、離島を中国人や中国資本が取得する動きがあり、先の参院選でも議論となった。日本は外国資本、外国人の買収禁止を可能にする規制を整えるべきだ。
トランプ政権は7月、「国家農業安全保障行動計画」を発表した。2022年に、中西部ノースダコタ州で米空軍基地近くの農地が中国食品大手の米国法人に工場用地目的で売却された件が契機となった。
基地は偵察活動の拠点で米軍は安保上の懸念を表明した。市議会は買収承認を撤回したが売却は阻止できなかった。他の州でも中国資本による米軍基地周辺の農地買収が判明した。

米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)には外国による土地買収を審査する仕組みがあり、安保上の脅威とみなせば大統領に勧告できる。だが、買収を阻止する法制度が全米規模で存在していなかった。トランプ政権は「中国共産党による農地の買収や悪用が繰り返されている」として計画を決めた。
日本では、安保上の懸念があっても外国資本、外国人による土地取得は野放し状態だ。世界貿易機関(WTO)の「サービスの貿易に関する一般協定」は商取引の内外無差別の原則をうたっている。日本政府は協定締結時、諸外国とは異なり外国人の取引を規制する留保条項をつけなかった。そこで買収阻止ができないと言い訳している。
令和4年施行の土地利用規制法で、安保上重要な施設の周辺で土地建物の取得状況を政府が監視できるようにはなった。だが、事前届け出制の義務づけであって、売買自体を阻むものではなく限界がある。
実は日本には、今も有効な外国人土地法(大正14年制定)がある。国防上必要な土地の外国人の取得を禁止・制限できる条項がある。だが、終戦後に施行令が廃止されたため運用されていない。WTOの協定上の問題を早急に解決し、政令を新たに制定すれば、同法を再活用できる。国益に反する土地売買を阻む仕組みをつくるのは日本の政治家の意思にかかっている。
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2025年8月26日付産経新聞【主張】を転載しています
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